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SF・ファンタジー・ホラー

黄昏遊戯人

   

私立探偵、水原秋也、二十一歳、容姿端麗、明朗快活、有能必至。
その助手(?)早川真澄、二十三歳、無粋、生真面目、その上、超のつく御人好し。

二人は都内某所で探偵事務所を経営していた。

だが未だ嘗て、まともな仕事が来たためしがない。
おかげでいつも事務所はキュウキュウだ。

それだけでも大変なのに、なんと秋也はアレで。
そして真澄は超厄介な霊感体質だった。

「闇の孔」その二年後のお話です。

 

俺の名は水原秋也(みずはら あきや)二十一歳、職業、私立探偵。
超有能な名探偵の俺の事務所前には今日も依頼人が長蛇の列を作っている。
ああ、人気者は辛いぜ。

「そんなわけあるか!」

その超有能で、超格好いい俺を、後ろから遠慮のない怪力で殴りつける男がいた。
仕事もなくフラフラしているところを拾ってやって、偉大な俺様の助手として雇ってやった恩も忘れ、この超カッコいい雇い主である俺様の頭をボカスカ殴る大変失礼なこの男の名は、早川真澄(はやかわ ますみ)二十三歳。

「誰が雇い主だ、誰が!」

真澄は呆れ顔で、まるで宿題を忘れた小学生を叱る教師のような態度と、外まで鳴り響きそうな大声で、まくし立てて怒鳴った。

「だいたいお前が、探偵やるから手伝ってくれよって頼み込んできたクセに! 一度でも俺に給料を払ったことがあるのか?」

おや、真澄が怒ったよ。
こいつがへそ曲げると厄介だからなあ。
もうメシ作ってくんなくなっちゃうと困るし、少しはご機嫌とっとくか。
俺はにこやかに真澄の首を掴まえて抱きついてやった。

「いやだなあ真澄ちゃん、あるでしょ一回、こないだちゃんとあげたじゃない、ない金はたいてさあ」
「ああ、六千円な! あんなの給料と言えると思うのか? もう半年も働いてんのに、その上その金、家賃だとか言って、またすぐ巻き上げたじゃないか!」

真澄はいかにも嫌そうに、俺の腕を振りほどき、キスでもする気か? と聞きたくなるほど顔をよせて、怒鳴り散らす。
白けるぜ。

「まったく、なにが長蛇の列だ! 列作ってんのは借金取りだけだぞ!」

チェッ! 煩いなあ。
しょうがないじゃん、だってまさかなにか事件はありませんかァって御用聞きするわけにもいかないでしょう?

「ああ、腹へったなあ……あれ、真澄どこ行くの?」

気づけば、俺に文句を言うだけ言って、真澄はコソコソ出かけようとしている。
どこへ行くんだと呑気に訊ねれば、マジで怒った顔になる。

 

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