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歴史・時代

黒い鷹(三)・阿吽仁王 第三話

   

「閑林独座す、草堂の暁」

空海

 

 天文十二年。
 徳川家康は、まだ幼少で、今川氏の人質になるとは、夢にも思わず、無邪気に遊んでいた。
 その頃のことである。
 種子島にポルトガル人が来た。
 ポルトガル人は、二つのものを、領主の種子島時堯に献上した。
 火縄銃とアルカロイド系毒薬である。
 その頃、ヨーロッパは、オスマントルコとの戦争の真っ最中で、多くの武器が使用されていた。
 武器の改良も、盛んに行われていた。
 銃でいえば、火打石で発火するマスケット銃が発明されたのである。
 火縄銃は、旧式になった。
 大量の旧式銃はどうする?
 何も知らない、東洋の僻地の国へ、売り払ってやろう。
 ジパングとかいう国は、黄金だけは多量にあるようだから、ちょうどいい。
 こう考えて、ポルトガル人は、種子島へやって来たのである。
 ポルトガル人は、狡猾であった。
 中央の京や堺ではなく、わざと、はずれの島へ来たのだ。
 ポルトガル人は、火縄銃とアルカロイド系毒薬の威力を、領主の種子島時堯に、披露した。
 そして、種子島時堯の耳に、囁いた。
「この銃と毒薬があれば、天下を盗れますよ。先ずは、試してごらんなさい」
 ポルトガル人は、笑いながら、言った。
「一年後に、銃も毒薬も大量に持って来ますから、黄金を用意しておいて下さい」
 そして一年後に来たポルトガル人は、唖然とした。
 日本中に、火縄銃が溢れていたのである。

 

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