幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

SF・ファンタジー・ホラー

幻妖奇譚<10> 第四の問題(下)

   

この世には人が知ってはならない事があります。それが幻妖の世界です。

 

 私は、前に読んだギリシャ神話のことを思い浮かべていた。
 先生の話が続く。
「そんなわけで、この問題は考えるだけでも危険だ、ということで闇に葬られたんだ。だが……」
 先生は、ニヤリと笑った。
「いつの世にも記録魔というのがいるもので、こういった経過を冊子にまとめた者がいたんだな」
 その本が、ギリシャ文明が滅んだ後もアラビア世界で残ったそうである。
 そして、六世紀にアブドゥル・アルハザードというアラビア人が、この本を高地ドイツ語に翻訳し、とある修道院に送ったということだ。
「そのアラビア人は問題を見たんですね」
「ああ。彼も狂い死にしたことが知られている。しかも……」
 先生は声を落とした。
「……その本を読んだ修道僧達は、たちまちこの問題にとりつかれ、やはり何人か気が狂ったらしい。
 それで、この本は悪魔が書いた魔法の書ということになり、人目に触れることが禁止された」
 先生は、後ろを振り向いて誰もいないことを確かめ、それから話続けた。
「どこかの教会へ行って聞いてごらん。『ネクロノミコン』って何ですか、と聞けば、汚らわしい言葉を言うなと怒られると思うよ。
 よほど親切な人なら、悪魔の秘技が書かれた書物だと教えてくれる。
 本当は数学の本なのだがね」
「その本を……、シュミット教授が持っていたんですか」
「そう。私にも見せてくれたよ」
「……」
「シュミット教授の家は学者一家で、歴代、何人もの優秀な学者が出ている。
 そのうちの一人、教授の長兄はギリシャ哲学を専攻していた。
 その長兄が、さまざまな記録の断片から、第四番目の数学の問題の存在、気が狂った者が出たこと、それらを記録した本が作られたことを突き止めたらしい。
 ところでだ、諸君――」
 先生の語調は、教室と同じになった。

 

-SF・ファンタジー・ホラー

アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編 第34話「それでも――――」

   2017/11/20

探偵の眼・御影解宗の推理 【嘆きの双子】15

   2017/11/20

ロボット育児日記39

   2017/11/17

忠実な部下たち

   2017/11/17

モモヨ文具店 開店中<36> ~帰り行く者~

   2017/11/16