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幻影草双紙38〜購入〜

   

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「こんにちわ」
「いらっしゃいませ。USO商会ショールームへ、ようこそお越し下さいました」
「広告で見たんだが、おたくで新型タイムマシンの売り出しを始めたそうだが」
「さようでございます。どうぞ、こちらへ、はい、そこへお座り下さい。お飲物は、何にいたしましょうか」
「何があるの?」
「コーヒーですと、モカ、キリマンジャロ、ブルーマウンテン、それにブレンドを取りそろえています。ジュースですと、オレンジ、グレープ、アップル。あと、清涼飲料水は……」
「じゃぁ、コーヒー。モカ、ブラックで」
「かしこまりました。おい、君。こちらのお客様に、モカ、ブラックをお持ちして。
 さて、タイムマシンでございますが、これが、新開発の800型タイムマシンでございます。
 当社が自信を持って新発売いたしました。
 必ずやご満足いただけると思っております」
「机の上のこれ? このバックパック?」
「さようでございます。あ、そう……、そちらにお出しして……。お客様、どうぞ、ご遠慮なくお召し上がり下さい」
「ありがとう。じゃぁ、遠慮なく頂くよ。コーヒーには目がなくてね。あ、美味しい。下手なコーヒー店より、はるかに美味いじゃない」
「ありがとうございます。そのコーヒーは、普通より三倍の時間をかけて熟成した豆を使っております。
 ショールームは、お客様に満足していただく場所。壁の配色から、机や椅子、お出しするドリンクまで、すべてに吟味を重ねております」
「いいねぇ。その心配り、気に入ったよ」
「それで、このタイムマシンでございますが。
 マシンを収納するだけならば、四角い箱型でかまわないのですが、デザインも商品の大切な要素、というのが我が社の理念。
 ティアドロップ型にしまして、全体をバックパックの防水透湿性繊維素材で覆いました。重さは、約五キロ。
 バックパックを背負ってトレッキングへ行くのと同じ感覚でタイムトラベルを行うことが出来ます。
 本当の個人用タイムマシンと申せましょう」
「信じられない。普通、タイムマシンは、ビルの一フロア全体を占めているのに」
「さようでございます。史上初のタイムマシンは、クラーク大学の実験棟全部、つまりビル一つの大きさでございました」
「それが、技術革新で小さくなった。それでも、ビルの一フロアくらいの体積が必要じゃないか」

 

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