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幻影草双紙41〜ビンから出現した魔神〜

   

 またまた、千夜一夜物語の他伝です。

 

 女は浜辺を歩いていた。
 アラビアの海の浜辺である。
 海は、どこまでも青い。
 蒼穹には雲の欠片のない。
 太陽が、ギラギラと照りつけている。

 女は、うつむき加減で、歩いていた。
 太陽が眩しいからではない。
 心情が、うつむかせるのだ。
 女は、絶望していた。
 人間不信に陥っていた。
 こうした心情では、アラビアの浜辺は似合わない。
 どちらかといえば、利休鼠の雨が降る浜辺の方が相応しい。
 そこで蟹と戯れて、じっと虚空を見つめながら海へ入って行くのだ。
 アラビアの浜辺で、傷ついた心を噛みしめて自殺に思いをはせるのは難しい。
 だが、女は、アラビアの浜辺に来たかった。
 寒いアパートで暮らしていたので、一度でいいから、熱いほどの場所へ来たかったのである。
 熱いほどの場所への旅行が、ハワイやタヒチではなくアラビアとなったのには、理由があった。

 

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