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スイセイバナ

   

学力不足と、男子校を嫌ったことが原因で、松浦は、「幻妖学園高校」に入学する羽目になった。

ヤンチャな連中が揃う男子校とは違って男子生徒も大人しいだろうし、喧嘩に強い俺だったらモテるかもと期待したりもしたのだが、「幻妖学園」の女子生徒たちは、魔力に長け、しかも人間とは違う種族である。力でも智謀でもかなうわけがなく、松浦は、散々オモチャにされるような日々を送っていた。

しかも、外部入学の生徒は、入学した段階で「パートナー」が定められ、将来的には夫婦になるという定めまであった。松浦の相手として指名された須藤 操のルックスは申し分なく、また、悪い性質でもなかったが、だからと言って、すぐには認められるものではない。

なかなか思うようにいかない日々が続く中、松浦は、クラスメイトから、額に花の形のマーク、「スイセイバナ」がついていることを指摘される。

「スイセイバナ」は、一種の魅了効果のある魔法のようなもので、それをつけられると、とりわけ「パートナー」が魅力的に見えてしまい、恋愛関係を避けることは困難である。

しかし、簡単に決心のつかない松浦は、同じように「スイセイバナ」がついた仲間と組んで、「大花祭り」に挑むことを決める。

そこで、「虹色華」を入手できれば、「スイセイバナ」を消すこともできるのだ。

しかし、女生徒たちの力は強力で、「祭り」の内容もハードである。松浦たちの勝負の行方は……?

 

 学校からの帰り道、その日も俺はいつものように、公園で寝そべっていた。
 とっくに管理をする人もいなくなって、雑草も生え放題のところだから、公園というよりは、空き地に近い感じである。
 要するに、滅多に人など来るはずのない場所なわけだ。
「参ったよなあ……」
 だから、今の俺のように、誰にも聞かれたくない愚痴をこぼしたいと考えている奇特なヤツにとっては、最適だったりする。
 一応、男子高校生である以上、クラスの女子に暴力的な扱いを受けている、なんてことを、先生や親にチクるわけにもいかない。
「くそっ、あいつらめ……」
 女子高生の圧力が、まさか精神ではなく肉体に直接来るとは、入学前、想像すらしていなかった。
 女子の多い共学校に入れば、たとえ俺でもモテモテだぜグヘヘ、という、邪な想像力と学力不足によって、「幻妖学園高校」以外の選択肢を失った俺に与えられたのは、灰色というか、暗黒に限りなく近い高校生活だったりする。
 一応、喧嘩の腕には覚えがあったわけだが、幻妖学園では、そんなもの、何の意味も持たない。
 何しろ、この学校の女子生徒はほとんど例外なく、「外の世界」で言うところの魔法を使ってくるのだ。しかも、抵抗力のない男子生徒にも、一切の遠慮なく。
「ああ、あと六年か」
 無意識のうちに、口からぼやきがついて出た。
 つい一か月前、高校二年になった俺は、後二年すれば、高校を卒業して、この凶悪な学園からおさらばできる決まりにはなっているが、そんなこと、生徒会役員に目を付けられている以上、建前未満の意味しかない。
 初等部や幼稚園からの生え抜きがほとんどで、魔法力とタチの悪さを完全に比例させているあの連中は、外部受験者は積極的に受け入れるのに、内部の人間が外部の学校や企業を受験することを、どういうわけか許さない。
「付属大進学率ほぼ百%」の触れ込みは、安定したエスカレーター式のシステムを生徒が許容したわけではなく、実のところ、生徒会の圧力によってもたらされた産物に過ぎなかったりするのだ。

 

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