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ラブストーリー

白いキャンバス ●現代編 3

   

ビジネスの話をしているはずが、家族間・夫婦間・男女間の話へとすり変わっていく。
妻として母として生きる以前に、ひとり女性としても生きたいと言う妻、あなたはどうなの? と聞かれ、出した答えは――

 

「今頃、聞くの?」
「え?」
「あなたを悪く言うつもりはないって言ったじゃない。いい意味で解釈してよ。私だって、良き妻、良き母でいたいから、努力してるつもりよ? でもね、それには亮介の協力が必要なの。私、我儘にならない程度に主張してきたけど、彩子さんに言われて改めて気付いちゃったのよ、あなたが何も言わない事に。ねえ、私は妻や母である前に初音っていうひとりの女性なの。亮介だって夫や父の前に亮介というひとりの男性なのよ? 私は絵本作家として初音というひとりの女性の人生も歩いているつもりだけど、あなたは違うんじゃない? 画家、続けたら? それとも、育成に励むのかな? どちらにしても、私は応援するし、協力もする。家計も今以上に助けるから、資金とかお金のことは後から考えましょう?」
「ちょっと待って。高木に言われたって?」
 高木に言えて初音に話せない事、確かにある。
 あるが、結果的には初音にも話しているし打ち明けてもいる。
 相談事を勝手に漏らすようなことをする女性ではないし、公私混同するような人でもない。
 高木は初音に何を話したと言うんだ?
「近い内、あなたが大きな決断をするんじゃないかって。彩子さんは身内じゃないから、結構冷静に私たち家族を見ているのかもしれない。亮介は行動を起こすまでがゆっくりだけど、一度考えが纏まると凄い力を発揮して頑張っちゃう人だって。でも、そろそろ家族の為だけじゃない、もっと広い考えで行動を起こすかも。だけど、それを最初に相談するのは、家族ではなく、ビジネスパートナーの私かもしれないけど、それじゃ駄目な気がするって。心当たり、ある?」
 あり過ぎて言葉が出ない。
「今日の話も仕事のことでしょう?」
「あ……うん。初音に話してからにしろって突っ返された」
「あら、そうなの? 何かしら? 聞かせてくれる?」
 実家に行くと言っていたのに、僕の真正面に腰を下ろし前屈みに聞く体勢を取られてしまうと、もう逃げ道はない。
 ここは覚悟を決めて――だが、どこまでも僕は覚悟ができないらしい。
「そっちの方が先なんじゃない? お義母さんのところ、行くんだろ?」

 

-ラブストーリー

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