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ラブストーリー

ラブサイクル<後編>

   

 乙女式、正しくない恋の描き方。

 そんな恋愛模様の一片を贈ります。

 現実はちょっと苦くて、でも甘い。そんな物語。

 ラブ・サイクル『後編』

 どうぞご堪能下さい。

○抜粋○

「先輩、何か女の匂いがする」

 晩飯を買い、席で食っていた矢先の話だ。唇にあんこを付け、「うぐ」とか言う男はきもい、そんなたい焼きを食っていた馬鹿な後輩に鋭い指摘を受けて、俺の心臓が痛い。少し離れたデスクで見積書を睨んでいた社長が俺を見てくる。コミケの手伝いじゃないんかい。そんな目線だ。

 酷い、誤解だ。

○○○

 

「すぅ……すぅ」
「っ、居るし」

 私は思わず、寝息を立てる彼の頬に手を当てた。冷たい頬が気持ち良い。

 嬉しさが最初だった。何だ、居たんだ。よかったと思うのが八割、二割で思ったのが、遅刻してない? だ。あわわわわ。どうしよう、気持ちよさそうに寝ていらっしゃいますが!

「誠也君。起きて。ね、起きてって」

 そっと服を抓んで引っ張る。どう起こしていいのか解らない。よかった居た、嬉しいけれど何というか、時間大丈夫?
 私のゆすり起こしに、彼の瞼が半分ほど開く。すぐに閉じて、ああ起こせない。どうしたらいいんだろう。あたふたしつつ彼の肩に手を掛けたら、手首を掴まれた。

 あ、おっきい指。

「佳代子、キスして」
「っ、あ、うん」

 寝ぼけた誠也君が私を呼び捨てた。久々で心が軋む。嬉しくて体が固まる。どうやってキスしたらいいんだろう。誠也君の隣に寝転んで、目を瞑る。それから、ええとと悩んでいたら、唇に熱が来た。手が私の頭を抱えてきて、誠也君からのキスを、受け止める。ん、口の中に誠也君の舌が入ってきて、熱いキスかい、と思いながら深く唇を交わす。
 んぅ、ぁう。うわ、エロキスだ。

「っ、おはよ。目覚めのキスとか、いいね」
「っは、はぁっ。ん、誠也君っ、時間、大丈夫?」

 唇を解放され、放心状態の私は慌てて誠也君を揺らす。彼の頭はまだ起きていない気がする。ぐいぐいと、今度は荒っぽく起こす。空が暗くなり始めている。あわわ。彼の手が私の服の中に入ろうとして来て、咄嗟に、

「誠也っ!」

 ぴしゃんと声を張り上げて、彼を止めた。誠也君が驚いた顔をして、「はい」と返事した。それからじっと、彼を見る。したいの? 遅刻してもするの? それならしてもいいけども!

 して。そう思いながら彼を見ると、しっかりとした眼差しの彼が、そこに居た。

「かよちん、時間は?」
「うん。五時半」

 もう一度キスをされ、抱きしめ合う。あ、気持ち良い。じゃなくて。彼は上着を脱いでいたらしく、椅子の上から服を取り、袖を通す。用意が早い。さすが社会人。

「ありがとう。もう少ししたら出るよ」
「そ、うだよね。うん」

 一気に現実に引き戻される。つい数秒前までエッチするかと思っていたのに。くう、これは辛いわ、マジで。

「絵、終わってるからね」
「っ、ありがとう」

 今にも旅立たんとする誠也君の背中に、私は咄嗟に飛びついた。彼も細身だけれど、私の方がはるかに細いので問題ない。後ろからぎゅうと抱きしめて、彼の準備を妨害する。けれど誠也君は怒らない。
 私もつい、甘えてそのまま抱きついたままだ。

「熟睡しちゃったね」
「俺も」

 彼が笑い、もう一度キスをした。私のお腹に彼の股間が当たり、私の胸の奥に電気が届く。うお、固い。彼が苦笑っている。私も手を合わせて、「今度、しようね」と告げた。彼は頷いてくれた。

 むう。やっぱり引き止めて、エッチした方がよかったかもしれない。だって彼のあそこ、めちゃくちゃにぱんぱんに張れているのだから。

 

-ラブストーリー

ラブサイクル<全2話> 第1話第2話

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