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幻影草双紙62〜黒電話3(後篇)〜

   

 この世は金で動いています。
 金の切れ目が縁の切れ目。

 

 
 樋口継男は、ゲーム制作会社『魔道士スミス』の社長である。
 ゲーム、それもファンタジー系のゲームを製作するのであれば、ファンタジー系の知識が必要である。
 そして、知識を仕入れるためには、多くの人脈が必要となる。
 その人脈のひとつを、思い出したのだ。
 あそこなら、こうしたことに関する情報を提供してくれるかもしれない。
 樋口継男は、そこに電話をした。
 事務的な、女性の声がした。
「はい。四次元社でございます」
「その声は、加賀谷さんですね?」
「ええ。あら、確か、その声は……」
「樋口でございます。ハイパーボリアでは、お世話になりました」
「お役にたって、何よりですわ。ああ、そうそう、おめでとうございます」
「え?」
「社長になられたんでしょう?」
「ウチの中の、子会社ですよ。社長なんて、名前だけで」
「ご謙遜を……。お祝いの席を設けましょう」
「加賀谷さんのような美人と飲むのは、恐い気がする」
「樋口さん、相変わらず正直ね」
「正直だけが取柄でして」
「それで、ご用件は?」
「紫雲国、ってご存知ありませんか」
「紫雲国? どこかで聞いたことがあるような気がする」
「崑崙山の中腹にあるそうです。紫雲国の水晶城。黄桃姫」
「紫雲国、水晶城、黄桃姫、では、名前が安易すぎる気がするけれど。いいわ、調べてみる」
「ありがとうございます」
「その紫雲国、どこかの秘密結社と関係しているの?」
「この世から美女を抹殺する秘密結社の元締めですよ」
「私の周囲にも、秘密結社の影を感じるわ」
「殺し屋が現れる?」
「そう。あまり多いから、整理券を発行しているの」

 

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