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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

堕天使の鎮魂歌 3

   

雅孝が篤志に拾われた5年前、篤志にはセツという彼女がいた。
再会してから今まで、セツの存在が感じられないことを不思議に思っていた、その真実が篤志の口から語られる。

 

 

【ロックオン】

 ≪ターゲット確認≫

 たった一言のメールが届いたのは、篤志との再会から1週間を過ぎた頃だった。
 続いて地図が添付され、確認した場所は、最近出来た若者向けのショットバーだった。
 俺は即答、今夜向かうとだけ返信をし、身なりを整え始めた。

◆◇◆◇◆

 夕刻をかなり過ぎた頃、俺が部屋を出たのは、メールを貰ってから約3時間程度経過していた。
 徒歩と電車を使い、目的の店の前に着くと、既に店の前には人だかりが出来ている。
 さすが、マスコミにも取り上げられた店だけはあって、繁盛しているようだ。
 その人だかりを掻き分け、俺に近づくひとりの青年、外見から察して俺と大差はないだろう。
 誰かをリスペクトしているのか、安易に想像できる髪型と服装に、誰の使いかは想像できた。
「あの、雅孝さん――ですよね?」
 聞かれて、俺は小さく頷いた。
「これ、篤志さんから――見たら処分ってことで」
 手にメモ紙を握らされ、青年は何事もなかったかのように、この場を去っていった。
 少し場所を離れ、俺はメモの内容を確認する。
 メモには、ターゲットが来るおおよその時間と、好んで座る席、酒の銘柄が書かれていた。
 そのメモに、ライターの火を付け燃やし、足で踏み消すと、道に残ったのは、黒く焼けた紙の残骸だけになる。
 携帯電話の時計で時間を確認し、そのまま店内へと入ると、ターゲットの来店まで、あと少しという時間まで迫っていた。
 俺は、ターゲットがいつも座ると言う席の横に座り、好みだという酒をオーダーして、訪れるのを待つ。
 几帳面そうな手つきで出された酒に口をつけること数回、一気に飲み干すような類の酒ではない為、ちびちびと飲んでいる感じになる。
 つまみのナッツで手持無沙汰を紛らわすということを何度か繰り返した頃、隣から人の気配と共にオーダーをする声が耳に届いた。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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