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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

堕天使の鎮魂歌 7

   

蝶姫から呼び出された雅孝は篤志が用意したホテルで肌を重ねる。
何かを言いたそうな蝶姫だが、結局、何も言わずに別れることに。
その後、雅孝は消えた蝶姫の足跡を追う…

 

【クライマックス】

 連絡を寄越した蝶姫は、その後ルームサービスで朝食を取り、そのままタクシーで帰っていった。
 いったい、何を言いたかったのか。
 ただ、会いたかったとか、抱き合いたかったとか、そんな単純なことではないような気がした。
 見送った後、俺は隣りの部屋を訪れる。
 俺が連絡を入れなくとも、誰かが篤志に入れているだろう。
 ここに来るか、もしくは指示を出しているか。
 その結果を聞く為に、訪れた。

 部屋の中は、数人の男がただいるだけで、何か特別なことをしていた様子がない。
 俺は正直、拍子抜けした。
 ドラマでみるような、なんの装置かわからない機器が並んで、緊迫しているのかと勝手に思っていた。
「収穫は、なしだな。雅孝」
 俺にルームキーを私に来た男が声をかけてくる。
「どうして?」
 ただいるだけの彼らに、どうやって――
「簡単なことだ。今では一般の素人でもやっているだろう。親子間、夫婦間とかで」
 そう言って、小さなボタンみたいなのを見せた。
「まさか、盗聴器?」
「あぁ。しっかり、バスルームとベッドルーム、電話の近くにも設置して置いた。気付いてないなら、相手の女も気付いていないだろう。意図として言わなかったのではなく、とても言いづらいことだと、我々は推測した。だが、それがおまえや我々とどれくらい関係あることなのかは、わからない。聞き出せそうか?」
「それは、篤志の指示?」
「そう、思ってくれて構わない」
 その直後、扉をノックする音が響く。
 一瞬にして、部屋全体に緊張感が漂う。
 この中で一番若い男が、他の者に指示され扉へと近づく。
 扉を開き、何やら会話をしている様子が見え隠れする。
 その時間はとても短く、用件を聞いただけのような感じだ。
 扉を閉めると、若い男は、俺の方へと直接向かってきた。
「あんたに、だそうだ」
 渡されたのは、一通の白い封筒。
 差出人の名前はないが、封筒の上にはしっかりと『雅孝へ』と書かれている。
 筆跡に心当たりはない。
 部屋全体を見渡し、目で合図を送ると、了解したという意図の視線が返ってくる。
 ペーパーナイフを使い、中に入っていた紙を開く。
 俺は、その文面に目を奪われた――

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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