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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

堕天使の鎮魂歌 8

   

攻める視点を変えてみよう、雅孝の考えが突破口に繋がる。
大城財閥の歴史が今回の事件の発端らしいのだが…

 

【最後の時】

 翌週、俺は蝶姫との再会をあまり期待せずに、あの店へと行く。
 迎えてくれたのは、馴染みになってしまったバーテン。
 当然のように、スカイシトラスマティーニを俺の前に出し、それを一口飲むと小さく首を左右に振った。
「やはり、来ていないのか――」
 期待はしていなかったが、このままこの状態というのも、俺が困る。
 一応、蝶姫のアパートを知らないことになっていたし、親しいと言われている店長も、詳しくは知らないらしい。
 女のひとり暮らしなら、どんなに親しくなっても教えるとは思えない、相手が同性だったとしても。
 警戒されるかもしれないが、今回ばかりは最寄り駅くらいは聞いておけばよかったと、後悔する。
「雅孝さん。そうガッカリする事もないかもしれませんよ?」
 どういうことか、少し怪訝そうな顔つきをして見せると、バーテンは俺の背後を指した。
 それにつられ振り向くと、ひとりの男が立っていた。
「彼は?」
「その彼です、雅孝さん。ガッカリにならないと思う情報を持っていると思います」
 それだけを言うと、俺たちの前から少し距離を置くように、下がって行った。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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