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ラブストーリー

壊れた夏休み 2話

   

13歳の夏休み、みきおが見たのは、ヤクザが女の子を強姦しようとしているところだった。
いまどきヤクザなんて……と思ったみきおは、何かの撮影だと思うのだが……
翌日、いつもと違う町の雰囲気に、何かが違うと感じる。

※この話はみきおとルビアの視点で話が進んでいきます。
この2話は、みきお視点になります。

 

 僕の知る限り、そんな言葉を使うのはヤクザくらいだった。
 ということは、ヤクザ映画なのだろうか……今の世の中、ヤクザが存在するなんて考えたこともないし。
 やっぱり、撮影なんだ……と思い始めると、また違った違和感を覚えた。
 撮影なら、どこかにカメラがあるだろうし、スタッフも待機しているはずなのに、それらの姿が見えない。
 アマチュアの作品があることを知っていた僕は、そのケースも考えたけれど、アマチュアだからこそ、近くで撮影をするものじゃないかなって思った。
 高性能なカメラは高いし、そういうの、いくらお金持ちの子供だって簡単に買えたりできないと思う。
 じゃあ、目の前で起きていることはどういうものなのだろう……て考えると、現実に起きている犯罪なんじゃないかって、考えてしまった。
 犯罪を目撃していると自覚していくと、足が震えて立ち去ることができない。
 目を背けることもできず、耳を塞ぐこともできない。
 神経が硬直して、何もできないまま、ことの成り行きを見るしかなかった。
「クウォーターがそんなに珍しいなら、私だけを狙えばいいじゃない。ひな子は許してあげて」
「ああ? あんた、ばかか? 許すはずねぇだろ。公言できないようにしなきゃな。いいか、ひな子。犯されちゃいました……なんて言うなよ? 言ってもいいけどさ、多くの人の前で包み隠さず話さなきゃいけないんだ……セックス、どう感じた? とか聞かれるんだぜ? そんな恥ずかしいこと、処女のひな子には無理だよな? これは合意だ。脱処女を経験したくて、自分から誘いました……だろ?」
「酷い……」
「酷い? ああ、そういうの、俺らにとっては賛辞だからさ、ありがとな。んじゃ、ひな子を頂くとするかな」
 頂くと言っていた男が床の上に馬なりになっている。
 下にひな子という人が倒されているのだろうか……
 さっきの叩きつけられるような音、人を床に叩きつけた音なのかもしれない。
 ひな子という人の声が聞こえないのは、ケガをしているか、それとも口を塞がれているか……早く誰かに知らせなきゃ……頭ではそう思っても、身体がまったく動かなかった。
 しばらくすると、この世の全てを拒むような悲鳴が響き、それに重なるように、勝ち誇る高らかな笑いが複数こだました。
 なにがあったのか、13という歳でもしっかりと理解できる。
 できるからこそ、衝撃が大きく僕はどうやって家に戻ったのかさえ、覚えていないくらいだった。

 

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