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ラブストーリー

壊れた夏休み 5話

   

記憶を取り戻したみきおとルビアは、あの日の事件現場へと戻っていく。
傍には大好きな人がいて支えてくれる、それだけで立ち向かっていける、そう信じるふたりだった。

※この話はみきお視点とルビア視点で進んでいきます。
5話はみきお視点になり、完結になります。

 

 
「大丈夫?」
 僕はベッドに横たわっているルビアに声をかけた。
「平気。そっちは?」
 催眠療法で失われた記憶を取り戻した僕ら、衝撃がなかったわけではないけれど、体験したルビアより、僕の方は以外にもすんなりと受け入れられた。
 13という歳では感じ取れなかったものも知れたことは、なかなかの収穫だと思う。
 だけど、ルビアのほうはどうだろう?
 経験したことをもう一度経験しなくてはならない。
 忘れ去らなくては立ち直れなかったような出来事を、もう一度経験するつらさは、僕には想像もできなかった。
「平気、だなんて軽々しく言うな。そんなはずないだろ」
「やさしいのね、みきおは。でも、本当に平気。思い出してよかったと思っている。忘れていたってことは、墓参りもしていないのよ? こんな薄情なことはないよ」
 そうだった、ルビアはこういう女性だった、昔から……
 誰よりも人を思いやれる人……ただ、少しだけ不器用だったんだ。
「私ね……なんであんなに自分を大切にしなかったんだろうって……みきおと出会って凄い後悔したの。愛されたいって願望が叶わなくて反発して、そして親に見捨てられて……自分が愛さなかったのだから、当然よね」
「そうかな。ちゃんとルビアは人を愛していたと思うよ、僕は。でなかったら、トシって人が命と引き換えに助けたりするかな」
「助けたかったのは、なつみの方。私はついでだったのかもしれない」
「そんなことはない。ちゃんと、ふたりの名前を言ったから、警察は最初からふたりだと思っていた、違う?」

 

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