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ラブストーリー

Love cannot be compelled 4

   

悟からの留守電に、言いようもない恐怖に襲われる蘭。
部屋に来るという伝言に、使えるはずもない居留守を決め込んだ。だが、蘭がチャイムに応対しなかった事によって、更なる恐怖に襲われた。
鍵を掛けたはずの部屋に、悟が上がりこんできた…。

 

 目が覚めたのは、酷く体に悪寒を感じてからだ。
「さむ……」
 熱帯夜にもなる事があるのに、体に感じているのは真冬並みの寒さだった。それを意識した途端に歯がカチカチと音を立てる。ブルブルと震えている体を抱き締めながら、掛け布団の中に潜り込んだ。そして、蹲り寒さに耐えていると、携帯が音を鳴らした。
 既に暗くなっている静かな部屋に鳴り響く着信音が、やけに煩い。テーブルに置きっぱなしにしてあった為に、取りに行くのも面倒臭い。音が止むのを待って、それから仕方なく誰からかを確認するために、携帯を取りに行った。
 電気を点けてテーブルに近づくと、十歩歩くまでもない距離なのに、足元がふらついているのが分かる。すぐに手に持ってベッドに戻った蘭は、布団に潜り込んでから携帯を見た。
(……っ、鈴村君!)
 一気に、得体の知れぬ不安が蘭を取り巻いた。表示されている、伝言のアイコンを開く手が震えた。
(何……、なんて入ってるの……)
 蘭は、恐る恐るアイコンを押して耳に当てた。
=先輩、大丈夫ですか? もしかして、電話に出られないくらい酷くなってるんじゃ……。だから俺を頼れば良かったのに…。心配なので、今すぐ様子見に行きますから。待っててください=
 そこで切れた伝言。一気に鼓動が速くなる。
(ちょっと待って……、見に行くって……)
 熱の所為じゃない悪寒に、蘭の震えが激しくなった。

『鍵くらい掛けておけ。俺じゃなかったら、どうするんだ』

 突然思い出した信長の言葉。慌てて玄関に向かった蘭は、鍵を掛けてからそこを離れた。だが、激しくなっている鼓動の所為で、どんどん呼吸が乱れる。
(鈴村君が来たら…、開けないわけにいかない……。だけど、開けたら……)
 間違いなく部屋に上がりこんでいく気がした。

 

-ラブストーリー


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