幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

自称天才数学者の推理記録 記録4 後篇

   

記録4《密室の秘密》

今回も短編です。
その後篇。

 

 殺し屋の林田剛が、マンションの部屋で死んでいた。
 玄関のドアには、鍵がかかり、ドアチェーンが付いていた。
 つまり、密室殺人なのである。
 ドア以外に、部屋と外部を繋ぐ場所が、2つあった。
 1つは、ベランダの窓の上部に付いた換気用小窓である。
 だが、これには虫よけの網が張ってあった。
 この窓からの侵入、脱出は無理なのである。

「もう1つは、何?」と、桜小路悟一が聞いた。

 榊原徹雄は、次のように説明した。
 もう1つは、トイレの天井にある点検口なのであった。
 このドアから、屋根裏へ行くことができる。
 電気の配線などを、点検、修理するための、扉なのである。
 この点検口は、5階の各部屋についている。
 だから、点検口を通れば、別の部屋から林田剛の部屋へ行けるのであった。
 だが、理屈はそうなのだが、実際には、無理なのである。
「普段は使わないものだろう。だから、点検口の屋根裏側には、格子がはまっている」
「なるほど」
「格子はネジ止めしてあって、ネジは錆びていたよ。最近開けられた跡はない」
 しかも、と榊原徹雄は続けた。
 屋根裏は、電線やパイプを通すだけのものだから、狭い。
 大人が四つん這いにならなければ、移動できない高さなのであった。
 そして、屋根裏の床には、ほこりが溜まっていた。
 もしそこに人がいたならば、必ず床に跡が残るはずであった。
 だが、それはなかった。
「だから、トイレから屋根裏へ脱出、というのは無理なんだ」
「そういうことだから、実質上は密室、ということだな?」

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

自称天才数学者の推理記録 記録4《密室の秘密》<全2話> 第1話第2話

コメントを残す

おすすめ作品