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ノンジャンル

お宝無人販売所

   

平井 一男は学校でいじめられていた。中でも主犯格の中条 茂は、極めて巧妙に肉体と精神をえぐり、かつ無実の罪を着せようとしてくる。このままいいようにやられていたら、いつか学校からも追い出されてしまいそうな有様だ。

そんなある日、平井は公園で、若い男に声をかけられる。若い男は西野 俊治と言い、「お悩み解決屋」を名乗っていた。平井の悩みを無料で解決してくれるらしい。

西野は、申し出を受け入れた平井に対して、平井家が持っている猫の額のような飛び地の土地に、あるものを設置し始めたのであった……

 

「参ったなあ、ホント、参った……」
 僕は独り言を漏らしながら、とぼとぼと家路を辿っていた。
 もうとっぷりと日は暮れているが、一緒に帰ってくれる友達はいない。
 いや、この高校に入ってからと言うもの、僕と行動を共にしてくれる仲間は誰もいない。
 平凡だった中学までの生活が、今となっては宝石のような輝きに満ちていたような気さえしている。
 私立剣緑学園、近隣では知らない者はいないという男子校に、僕は通っている。
 有名人や政治家たちの子弟が多く入学しているために、知名度が高いというのが特徴である。
 偏差値はさほど高くないが、小規模校ということで志望者を絞り込んでいるために倍率は高く、エリート・富裕層の子供とその保護者たちを満足させるだけの充実した設備もある。
 一流大学への進学率を重視していないために、学校全体の雰囲気も緩い。
 しかし、そうした要素はあくまで外面でしかない。
 この学園、いや、生徒たちの本質を、僕の肉体と精神は、これ以上ないぐらい理解していた。
「ぐっ、ぬうう、いたた……」
 駅の階段を上ろうとしたところで、腹部に鈍い痛みを感じて、僕は顔をしかめた。
 腹だけではなく、肩や脚も相当痛い。
 クラスメイトたちに殴られているからだ。
 彼らのちょっとしたストレス解消や憂さ晴らしに、僕の体は入学以来ずっと使われ続けている。
 しかし、証拠はない。
 顔には一切手をつけず、攻撃は胴体部分だけ、しかも足跡の残る蹴りは使わず、拳にタオルを巻くというような、何重もの慎重さ、周到さのために、僕の体にはアザすら残っていない。
 度重なる攻撃でダメージを受けているのは内臓で、だからこそ表面部分よりもずっと深刻な損傷がある。

 

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