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ラブストーリー

先生 第二回 追憶その1

   

昭和49年4月、私が高校2年生の時、先生と出会った。

おじの経営する進学教室で数学を教えてもらうことになった。

先生はいろいろ悩みがあるようだったが、私は先生を信じ、一生懸命に勉強し、一時、低迷する時もあったが、成績は順調に伸びていった。

しかし、受験間際の高校3年の12月、父を交通事故でなくした。

 

第二章 追憶

昭和49年
4月1日(月)、何処までも突き抜けるような、とても気持ちの良い天気。アルバートハモンドの「カリフォルニアの青い空」って、こんな天気の下で作ったのかな。

今日から新学期。高校の教師を辞めてから初めて高校生に数学を教える。大丈夫かしら?下調べは十分にしたから、後は以前の勘が戻ってくれば、大丈夫。自信を持ってやりましょう。

生徒は渡辺先生の知り合いの高校2年生の早川俊君。

「早川俊君?」
「こんばんは。よろしくお願いします。」
「私は立花郁子。今日から一緒に勉強しましょう、よろしくね。
 ところで、早川君は背が高そうだけど、クラブ活動は何をしてるの?」
「176cmです。陸上部と、いっても補欠なので、マネージャー兼務です。へへ。」
「ご兄弟は?」
「妹が一人、中学1年生です。」
「家はどこなの?」
「ここから自転車で15分くらいです。近いですよ。」
「そう、これから一緒に頑張ろうね。」

明るく素直な男の子、って郁子先生の印象。

先生、きれいだな。でも厳しそう、これは私の印象。

4月10日(水)
「早川君、練習問題、解いてみよう。」
「えぇ、いきなりですか?」
「大丈夫よ、1年生の問題だから。」

頑張り屋ね。最後まであきらめずに解いていた。
厳しいな、いきなりテストだもんな、って私は感じていました。

4月25日(木)、もう4月も終わり。
気温もあがり初夏のような気候です。壮一さんは少し疲れているみたい。本社勤めは大変なのかな。

5月13日(月)、明後日から中間テスト。
早川君は徹夜で勉強しているらしく、眠そうだった。
頑張れ、早川君。

〝先生、ねむいよ。〟早川君の全身からこういうメッセージが出ている。じゃあ、眠気覚ましに雑談でもしましょう。

「早川君、ラジオの深夜放送なんか、よく聞くの?」
「えっ!先生も深夜放送聞くの?」
「深夜放送は聞かないけれど、昼間のラジオはよく聞くわ。
 私が高校生の頃は深夜放送はなかったけれど、今の高校生はみんな聞いているの?」
「聞いている人は多いよ。昼休みなんか、ラジオを聞いていないと話についていけなくなっちゃうよ。
 土居まさるとか、那智・チャコとかさ。」
「そのなの。私は深夜放送は聞かないけれど、ロバータフラックの『優しく歌って』は大好きな曲よ。聞いたことある?」
「そうそう、僕も好きだよ。ロックより、こういう曲がいいよね。」

そろそろ眠気がさめたかな?さあ、勉強しましょう。

6月24日(月)、期末テストが近い。
「早川君、教科書の復習を終ったから、練習問題を解いてみましょう。」
「難しいのばかりじゃ、いやだな。」
「大丈夫、大丈夫。」

「よくできたわね。頑張ってるね。」
「ありがとうございます。」

個人指導を受けるようになって約3ケ月経った。先生も私もお互に少し打ち解けてきたように感じていた。

7月20日(土)、一学期終了。
「おじさん、これ。」
「ばか、ここじゃ、先生と呼べ。」
「すみません。渡辺先生、通知書です。」
「・・・いい成績じゃあないか。頑張ったな。」

早川君の成績はよかったらしい。渡辺先生に褒められている。
私も少しは貢献できたかな、郁子先生の感想。
僕が頑張ったんですよ、私の感想。

 

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