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SF・ファンタジー・ホラー

サクリファイス クロニクル編8

   

不老不死の身体を持つアーロンとクレメンティーナに救われたシャルルは、二人の力を分け与えられ、自らも不死身となった。
アーロンの秘密である尽きない金の謎から、不老不死の秘密と能力について知るシャルル。
そして、アーロン達を追い詰める薔薇十字団についても知らされる。
うっかり薔薇十字団と鉢合わせてしまったシャルルは、隊長カサンドラから逃れるため、再び女を演じるハメとなってしまうのだった。

怪物サクリファイスを描いたゴシックダークファンタジー!

 

 僕は、アーロン達とその先何十年か共に過ごしたのだが、それはまた別の機会に少しずつ話すとしよう。
 アーロン達との初めての食事は、実に贅沢なモノだった。アーロンもクレメンティーナも金額を考えずに高級な料理をテーブルいっぱいに注文するし、気に入らなければどんなに高価な料理でも一口で破棄してしまった。僕に対しても、お金のことは気にしなくて良いと言い、高級な料理やワインをどんどん薦めて来た。
 それは毎日の事となり、料理だけではなく、欲しいモノがあればどんなに高価なものでも手に入れてくれた。
 僕にとっては今までの生活が嘘のようで、アーロン達との生活は夢のような贅沢三昧の日々であった。
 アーロン達にとって、金は泉のように湧き上がるものであり、決して尽きないものの様に思われた。
 ある日、僕がその事“尽きない金”についてアーロンに尋ねると、ワインに酔ったのか一度だけ話してくれたことがある。
 アーロンとクレメンティーナは、昔、互いに錬金術師として錬金術の研究に携わっていた。錬金術とは、未完成のものを完全なモノへと導く術である。全ての物質には完璧なモノを目指す性質があると考え、それらを邪魔し不完全なモノとする物質を取り除く事で、物質を完全体へと変えるのである。
 そしてアーロンとクレメンティーナは、偶然にも“賢者の石”を創り出してしまった。賢者の石を使って、石や卑金属を金や宝石に変えているのだという。
 そして、この秘密の他にも少しだけ自分達の事を話してくれた。賢者の石を創り出したアーロンとクレメンティーナは、賢者の石の性質を人間にも応用出来るのではないかと考え、“錬金薬(エリクシール)”の研究に取り掛かった。これは、二人の間だけで極秘に行われたのだという。
 何百匹もの猫を犠牲にし、やがて不死身の猫を創り出した二人は、人間すなわち自分達に適用する為、不死身の猫を徹底的に研究した。猫は首を切り落としても死なず、灰にしても死ななかった。病気も怪我も瞬く間に完治し、完璧であるかの様に思われた。
 また、不死身の猫の血液自体がエリクシールであることも解り、二人は不死身の猫のエリクシールによって、この怪物的錬金の身体を手に入れたのだという。
 だが、偶然にも弱点を発見してしまう。当時、聖水として掲げていたチャリスの水を不死身の猫が誤って被ってしまったのだ。瞬間、猫はしゅうしゅうと煙を吐きながら、砂と化してしまったという。
 アーロンは言う。まだ、その点では完璧であって完璧ではないと。完璧なエリクシールを創り出す必要があると、アーロンは考えているようだった。
 能力について知ったのも、偶然にも食事の肉に付着していた血液を口にした事が始まりだという。
 我々は偶然の神に好かれているのだと、アーロンは笑っていた。

 

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