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ラブストーリー

ふたりの生活:八話

   

時が流れ、七月下旬。
羽澄はメンズ担当の小杉と道でばったり出会い、食事に誘われた。
承諾後に千川が羽澄の前に表れる。
なぜか千川も含めた三人で食事をすることになったのだが……。

 

 時は流れ、七月下旬。かんかんに照りつける太陽の下、大量の汗を流しつつコンクリートを踏みしめる。
 今週いっぱい補講期間でありテスト期間でもある。試験は持ち込みのものが殆どなので、多少勉強するだけでもオーケーだ。
 現在バーゲン真っ只中で、通常デスクワークをこなす社員さんが出払っている。店頭のヘルプで休みも少なく、てんてこ舞いになる新人さんもいるらしい。
 ちなみに、ヘルプは営業や人事、総務関係なく出ることになっている。さらに付け加えると、本社で働くバイトも駆り出されることも多い。
 わたし月島羽澄については、バックアップを頼まれたので、販売することはない。
 ただし、社販会は例外で、初売りや冬のバーゲンについては未定となっている。
 多分、初売りには駆り出されるかも。給料が時給プラス千五百円は魅力的。二、三日だけ出るだけだし。
 なんにしろ、ここで労働しているうちは販売員となる可能性を秘めている。個人的にレジ打ち以外であれば、喜んで参加させてもらうつもり。
 本日から金曜までは午後からの講義がない。先週まででテストが終了したか、レポート提出だけ。
 来週以降は長時間労働ができて、お財布の中もホッカホカ、夏だけに。
 それにしても暑い。暑いと口にするだけで体温が上昇しそうなぐらいに、汗が噴き出る。
 遠くを眺めると、地面から膝の下ぐらいがゆらゆらと揺れている。陽炎が立つほどの猛暑日が続き、水分を欲する機会が増えた。
 頭から水をかぶるか、エアコンの前に立って冷風を浴びたい。節電対策のせいで、状に外の気温のマイナス二度設定の室内でも涼しいのに代わりない。
 ふぅ、それにしても暑い。地元宮城は、自然に囲まれているのもあってここまで暑くないよ。
 やっぱり、コンクリートジャングルである都心は地熱が籠りやすい。
 土を覆い隠すように道路は全てコンクリートが敷かれた。凸凹しないのは車社会では都合がいいぐらいは分かっている。
 けど、熱を吸収した結果、夏のあいだは二十四時間暑い。空気が暑い、風が暑い、なにもかもが暑い。冷房器具が欲しくなるのは当たり前のこと。
 歩くのも億劫で、無駄金はたいても公共交通機関を使いたくなる。
「わざわざ三十分もかけて大学から会社まで歩くなんて、時代と逆行しているじゃん。しかも午後一時という、真上から太陽がギンギンに輝きを増す時間で歩き続けるとかって」
 運動不足で歩いているといっても、ちょっと我慢のしすぎかも。
 こんなことならば大学で昼食をとって、地下鉄を乗り継げばよかった。
 後悔先に立たず。
 わたしって、先人達の知恵を完全に無為にしている。
 文明の利器に頼り過ぎてはどうかなぁ。なんて思ったけど、生命の危機に瀕するよりは素直に交通機関を使うべきだったよ。
 交通費は定期券で購入したから別にいいのに。健康に気を使ったつもりが裏目に出てしまった。水分を、水や塩分、糖分を身体が欲してきた。

 

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