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SF・ファンタジー・ホラー

サクリファイス クロニクル編12

   

 全てを受け入れられざる負えなくなったシャルルは、クレメンティーナの提案で長き眠りに付くことを決める。
 そして、シャルルの15世紀での壮絶な話は幕を閉じるのであった。

 サクリファイスと呼ばれる怪物を描いたゴシックダークファンタジー!

 次回より、18世紀に突入!

 

 僕が目を覚ましたそこは、灰の上だった。
 ナイフで切った筈の髪は長さを取り戻し、服は着ていなかった。酷い空腹と喉の渇きが、僕自身が死の底から蘇って来た事を物語っていた。
 僕が灰の上で立ち上がると、足元が崩れ、上から焼け焦げた髑髏が幾つか転がってきた。カサンドラだろうか、シンディだろうか、もう解らない。乾いた風が僕の金髪を摺り抜け、揺らした。
 僕は、ゾンビのようによろよろとその場を後にした。路地を曲がった先で、軒先に干してあった服を盗み、着た。それは大きかったけれど、裸のままより良い。
 何か、食べたい。今は、それだけだった。
「姉ちゃん、男装かい?」
 酔っ払った男が、ワインを片手にケラケラと僕を指差し、笑った。僕はその男に近付くと、ワインをくれと手を伸ばした。男は言った。
「姉ちゃんが、相手してくれるなら、いくらでもやるよ」
 僕は頷き、男のワインを奪うように取ると、ワインを一気に飲み干した。少し落ち着いたところで、僕は、手にしたワイン瓶で男の頭を殴りつけ、男が倒れたところでその男の動脈に噛み付いた。ヴァンパイアの様に牙でもあれば楽だったかも知れないけれど、僕の歯に生憎その様な便利なモノは無く、肉を食いちぎる事を余儀なくされた。そのせいで、服は男の血で染まり、顔も血でべっとりと染まった。おぞましい、化物が人を喰らう姿だったに違いない。
 男の血を啜っていると、心臓が二つある様な感覚に囚われた。それが、特殊能力の目覚めだったのだ。眼は鋭くなり、どんなに遥か先でも見通せる気がした。鼻は敏感になり、少し前の人間の通った痕跡すら解る気がした。そして、少し力を入れただけで、男の身体の骨は小枝よろしく簡単に折れた。
 エイハブを探そう。そう思い、僕はエイハブの臭いの痕跡を辿って走った。馬の何十倍ものスピードで、街中を駆け抜けた。

*****

 

-SF・ファンタジー・ホラー


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