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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

自称天才数学者の推理記録 記録5 第1話

   

記録5《赤と黄色》

今回は、短編ではありません。
でも、長編ほどではないのです。
その1。

 

 
 ビキニの水着で、上を付けていない場合、これをビキニと呼んでいいのだろうか。
 ビキニは、上と下が分かれた水着である。上下がペアでビキニなのだ。
 上がなければ、単にパンツを穿いているだけにすぎない。
 これではビキニとはいえないのではないか。
 もし小説家が、スーザン・ターナーの姿を描写するとしたら、どう書くであろうか。
 ビキニを着ている、と書くのだろうか。
 スーザン・ターナーの姿を見ながら、ダニエル・マッケンジーは、そんなことを考えていた。
 スーザン・ターナーは、赤いビキニの水着の、パンツだけを穿いている。
 大きな乳房は、露出したままで、揺れているのだ。
 他に身に付けているのは、サングラスだけであった。
 南仏の眩しい太陽を避けているのである。
 スーザン・ターナーは、その姿で、客のミスター陳に、シャンペンを渡した。
 そして、ダニエル・マッケンジーには、バーボンを渡して、ダニエルの隣に座った。

 ダニエル・マッケンジーは、身長が2メートル近い大男である。
 年齢は、45歳くらい。
 若いとはいえない年齢だが、引き締まった身体をしている。
 アメリカ人、それもテキサス出身、といわれれば納得してしまうだろう。
 どことなく粗暴な感じを漂わせている。
 それに、豪華なクルーザーを所有しているのだ。
 テキサス出身で石油関係の大富豪、というしかないではないか。

 クルーザーに、ゲストとして招かれたミスター陳は、ダニエル・マッケンジーのことを調べてあった。
 南仏には、金持ちのふりをした詐欺師が多い。
 しっかりと調査をしなければならない。
 なにしろ、大きなビジネスをしようとしているのだ。
 もしも眼鏡違いだったら、大変なことになる。
 ダニエル・マッケンジーは、アメリカのテキサス州出身で、石油会社を経営している、これはすぐに調べがついた。
 また、この巨大なクルーザーの所有者は、間違いなくダニエル・マッケンジーであった。
 コモ湖とスコットランドにある別荘、ニューヨークのペンションの所有者であることも、確認した。
 銀行口座の残金。
 さすがにこれを調べるのは難しかった。
 だが、スペインの銀行に50億ドルの貯金があるのだけは、確かであった。
 特別なコネを使って、調べたのである。
 他の国の銀行にも、それ以上の貯金があるのは間違いない。
 要するにマッケンジー氏は、まちがいなく大富豪なのである。
 ミスター陳は、こういうふうに結論を出した。

 

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