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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

アゲハ蝶 episode終

   

 組織に乗り込むファジーの元に、キティが現れ、キティはファジーに全てを託す。
 ファジーが求めるものは、自由。ただそれだけ。

 衝撃のラスト!!

 アウトローハードボイルドサスペンス!

 

 冷たいコンクリートと、電流が流れる有刺鉄線の囲い。窓枠に嵌め込まれた鉄格子と錆びた茶の赤が、妙に不気味さを浮き立たせる死んでしまった空間。
 入り口を見張る、二人の男。無言のまま近づくと、男二人は驚いた顔でこちらを向いた。
 隙を突いてそれぞれに二発ずつ銃弾をブチ込んだ。こんな所で足止めされる訳にはいかないから、気分は悪いが頭部を狙う。男二人の頭蓋骨は砕け、後ろの壁にまで脳みその破片が飛び散った。

 もう、後戻りは出来ない。

 一気に入り口を走り抜けて、ボスの部屋へと向かう。ボスは崩れかかったビルの十四階に席を構えている、筈だ。
「あ、ファジー!!」
 誰かが叫んだ。振り向き様再び拳銃の引き金を引く。だが、一発目は簡単に避けられた。
 流石、組織の人間だ。皆が皆、そう簡単には殺られてくれない。
 取り合えず曲がり角に飛び込んだところで、向こうも銃を撃ち返してきた。身を低くしながらこちらもタイミングを狙って撃ち返すと、悲鳴と確かな手応え。何とか当たったらしい。その隙にエレベーターに乗り込んだ。同時に、組織内に空襲サイレンの様な騒音が鳴り響く。
 エレベーターの扉の陰で銃弾を入れ替えると、ディスプレーを見ながら深呼吸を繰り返す。

 2……3……4……5……6……

 大した時間でもないのに、やたら長く感じる。
 設定した筈の十四階ではなく、十二階でエレベーターは停止した。
 扉が開くと同時に拳銃を構えると、目の前に居たのはキティであった。
「ファジー私よ」
「!!キティ!!」
 彼女はエレベーターに飛び込み〝閉〟のボタンを殴りつける様に押したが、既に回線は切られてしまったようで、うんともすんとも言わなかった。
 キティは私の腕を引っ張って、エレベーターを降りた。が、角から男達が飛び出してきたので、再びエレベーターに戻る羽目となった。
「ファジー、何人いた?」
「右に二人、左に一人」
「オッケー!なら左の二人、お願い。話はそれからよ」
 物騒に、マシンガンをぶっ放しながら近づいてくる。床に転がりながら、キティと向かい合わせに同時に飛び出すと、男達は戸惑ったように一瞬引き金を引く手を止めた。私はキティの肩越しに四発、キティは私の肩越しに二発撃ち込んだ。お互いの銃弾は、外す事無く三人の男を仕留めた。
「腕はまだ鈍ってないようね」
 キティの皮肉に笑みがこぼれる。

 仕方ないので、二階分は階段を使う。十三階の処刑室、そして十四階ボス室へ。
「ファジー、何で戻ってきたの?」
 階段の影に隠れた所でキティが囁いた。側を、せわしなく走り抜ける足音が響く。
「米國で、家族が出来た。私は生きる。今度は人を殺すんではなくて……」

「居たぞ!!」

 誰かが叫んだ。と同時に、そいつの顔面に鉛弾をぶち込みがてら飛び出した。
 再びキティと走り出す。走りながら、私は続けた。最後になるかもしれない、そう感じた。けれど、恐怖に浸っている暇はない。
 どん! と、彼女と私の背中が、ぶつかった。
「少しでも、人を助ける道を選べば、本当の家族になれるかなって思った。だから、ここで、組織にピリオドを打っておかないと」
 銃弾が鳴り響く。そして、最後の階段を二人駆け上がった。
「ファジー、龍は死んだの。龍を撃ったのは私」
「……キティ……?」
「だけどさ、龍は私を助けるために銃を撃たせた。ファジーを助けるために、組織を裏切った。格好良いよね?」
 双眸が熱くなるのを覚えた。私の目から涙が溢れる前に、キティの目から涙が溢れて頬に一筋の線を描いた。
「……ファジー……生きてね」
 キティの足が止まる。私も衝動的に足を止めた。
「キティ?!」
「ファジー!! 走って!!」

 そう、私が最後に聞いたのは無数の銃声と。キティの……悲鳴。

*****

 

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