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宇宙非行隊の出発

   

船木 一弘をはじめとする十人の男たちは、国民の期待を一身に背負い、宇宙に飛び立とうとしていた。

目標は月。近年ふいに月に落ちてきた巨大隕石シノヅカへの調査を主なミッションとしている。シノヅカへの有人調査という目的を持ち、メンバー全員がかつて「不良」系の学生だったという異色の集団、通称「宇宙非行団」は発進していった。

だが、意気揚々と宇宙空間へ飛び出した船木たちも、このミッションの真の目的を知らされてはいなかった……

 

スリー、ツー、ワン、ゴー。

 無個性な機械音声が室内に響き渡ると、すぐに船木一弘の全身に圧力が加わった。
 だが訓練で味わってきたものよりは随分軽かったため、船木は食いしばった歯の隙間から声を上げずに済んだ。
「乗り切ったな、船木」
 Gの圧迫がおさまったところで、隣りに座る石口が声をかけてきた。
 石口の精悍な顔には船木と同じく、いくつもの傷跡が残っている。
「ああ。どうやら、カシラがバックれちまうようなことにはならなくて済んだみてえだ。後は、シノヅカに着くのを待てばいい」
「油断すんなよ」
「わーってるよ。俺だってあんな負けはもうごめんだしな」
 船木は雑に返事をしてから、船内に取り付けられたモニターのスイッチを入れた。
「ご覧頂けますでしょうか。たった今、篠塚宇宙開発所属の飛行隊、計十名を乗せたシャトルが、月に向かって飛び立ちました。民間中小企業主導としては初の快挙です。彼らは、厳しい訓練の末にこの名誉を手にしたのです……」
「おいおい、まるでヒーローだぜ、船木。夢みてえだ」
「ああ、篠塚さんに感謝しなくちゃな」
 船木は、ケーブルTVの番組を映している画面越しに、恩人である社長に向かって頭を下げた。
 石口の言葉じゃないが、あのきっかけがなかったら、自分がシャトルの中にいることはもちろん、こうやって謙虚に頭を下げることだってできていたかどうかも分からない。

 

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