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幻影草双紙74〜100万分の1〜

   

100万分の1。
確率論的にいえば、ものすごく小さい数字です。
でも、ゼロではないのです。

 

 
 中村徹は、車の中で、ぼんやりと考えた。
 宝くじに当たる確率は、どのくらいなのであろうか。
 100万分の1?
 それとも、もっと小さいのか。
 ともかくも、非常に小さいことは間違いない。
 しかし、宝くじを買って1等に当たる人もいるのだ。
 100万分の1の確率に当たる――。
 それは、よほど幸運な人といえるであろう。
 そんなことを考えている中村徹を乗せたパトカーは、所轄の警察へと向かっていた。

 中村徹は、一匹狼の悪人である。
 そもそもは、厳格な家庭に反発して、グレたのであった。
 悪い友達とつきあい、暴走族に加わった。
 体格もよく、頭も切れるので、メキメキと頭角を現していった。
 そして、暴走族を卒業した頃、暴力団に誘われたのである。
 だが、中村徹は、違和感を持ち始めていた。
 暴力団は、上下の関係が、実にやかましい。
 元々、厳格な家庭に反発して、悪の世界に踏み込んだのだ。
 それなのに、暴力団組員では、厳格な生活をしなければならない。
 中村徹は、暴力団の組員にならず、1人で暮らすことにした。
 一匹狼で、悪いことをして、生活するのである。
 この方が、楽でいいではないか。
 そして、年月が経過した。
 今、中村徹は、あるイベント会場の売上金の強奪を計画していた。

 それは、ある地方の大きなスーパーであった。
 旧弊のスーパーが、昔からあったのだが、客の姿は、ほとんどなかった。
 何とかしなければならない。
 スーパーの社長は、東京のアイデア事務所に相談した。
 旧弊の経営を改善させるので有名な事務所なのである。
 その事務所の指導で、スーパーは、大幅に変わった。
 簡単に言えば、単なるスーパーから、スーパーもある総合レジャー施設になったのである。
 買い物に来たついでに、いろいろ楽しむことができる。
 遊びに来たついでに、スーパーで買い物ができる。
 こういうことなのだ。
 新装開店後、スーパーは人で溢れていた。
 そして、客を飽きさせないように、様々なイベントが、次から次へと行われていた。

 

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