幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ラブストーリー

RED SPRITE -My girlfriend- Ⅱ

   

いよいよ登場した〈超過激な彼女〉

樹泰の恋心は届くのか? 

「拓帆、深月さん、薫さん。 それに僕。
忙しくたって、泣きたくたって、地球は回って、太陽は昇るんだ。
そう、僕らは皆生きているぅ♪ うははははははっ!」

お母さん。
能天気な笑い声を撒き散らし、今日も樹泰は元気です。

恋シェフ薫編のスピンオフ。
ド金髪天使・樹泰の恋模様は障害物競走のように前途多難。
花も嵐も踏み越えて♪ 生きていくんです!!

ゆっくり楽しんでねぇ~ うははははははっ♪

 

 
「ねぇっ! 聞いてよっ!」

数日後、僕は近所の深月さん家にお邪魔していた。
電子ピアノで作曲する深月さんの後ろに座り込み、シャツの裾を引っ張る。
深月さんは面倒そうに、

「あのね、俺は今お仕事中ぅ。
お前なんかよりずっと可愛くてぇ、ずっと可愛い女の子に曲を作ってんの。」

って、振り向きもしない。

「二度も可愛いって言うなっ!」
「だって、本当に可愛いんだよ、お前なんかより。」

ぶぅーっとふて腐れると、後ろのドアが開いた。
振り向くと、ギターを肩に担いだ拓帆が立っていた。

「拓帆! やっぱりお前じゃなきゃっ!」

僕は拓帆の足にすがりつこうとした。

「鬱陶しい…。」

拓帆は僕を一蹴し、僕は敢えなく後ろへ倒れる。
そんなに強く蹴らなくても…くすん。
拓帆はそんな僕を鼻で笑って、窓辺にギターを立てかけた。

「どう? 順調?」

拓帆は深月さんに声をかける。

「あんまり進まないんだよね。
あの天使がうるさくってさぁ。」

深月さんは僕に振り向いて、口をアヒルみたいに突き出した。
拓帆も僕に視線を向け、ハスキーボイスをクールに響かせる。

「仕事を邪魔するのは、お前が馬鹿だからか?」
「なっ!? 何をぉ~っ!」

僕は拓帆に飛びかかろうと、立ち上がった。
でも、踏み出した最初の一歩を拓帆に掬われ、またもや尻もちついて後ろに倒れる。
見上げる僕の視界に、拓帆の綺麗な顔が拡がった。

「深月さんはお仕事中なんでちゅよ。 
お子ちゃま樹泰は分からないでちゅか?
そんなに遊んで欲しいんでちゅかぁ~?」

と思いっきり馬鹿にした声音で、両頬を指でグリグリと押してくる。
むっかぁ~っ!
僕は一矢報いようと、近すぎる拓帆の顔に頭突きをした。
いや、しようとしたけど、拓帆は最強様。
難なく後ろへヒョイと避けられ、僕のおでこは空を切った。
その時、鼻に掛かった甘い声が呆れた様に呟いた。

「はい、はい。 もう…しょうがない子だねぇ。」

深月さんは僕の腕を引っ張り上げ、その一重のお目々でフニャっと笑う。

「リビングで聞いてあげるから、コーヒー淹れて待っててぇ。」
「本当っ!?」
「うん。 この譜面片づけたらね。」
「どのくらいかかる?」
「コーヒーのいい匂いがして来る頃。」
「分かったぁっ!」

僕は機嫌を直し、ドアを出ようとした。

「単純馬鹿…。」

拓帆がハスキーボイスで毒づく。
…お前のコーヒーは作ってあげないもんねぇ~だっ!

 

-ラブストーリー