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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

金にまみれる男 2

   

 消費者金融・MUSHOUを経営している社長、武条 剣宕(むじょう けんご 42歳)。表向きは腰の低い金貸し商社マンだ。しかし、裏ではやくざな商いをしていた。武条の舎弟分の差嶽 延也(さがく のぶや24歳)。売春・臓器売買・麻薬密輸販売の金銭授受を任されていた。
 籤稿は、武条が経営する金融会社から金を借りている。このときすでにハニートラップにかかっていたことをしらない。
「バー・キング」は武条が経営していることも気づかず出入りしていた。
 10万円まで借りられるが、いつのまにか200万円まで上限を突破していた。
”返せないなら返す手段を教える”。
 武条の教訓とは、差嶽がしていることを代行してもらうというわけだ。
 それもしらずに、籤稿は200万円を引き出していた。女に貢ぐための物品と、生活費に当てるために。しかし、計算の狂いが生じて、ぐうの音もでない状態に陥る。
 再びネットショッピングで高価なロレックスを転売目的に購入した。が、いつもの質屋からは断られた。
 途方に暮れるなか、ふと看板を見上げる。
”SHADOW BRAIN・HIKAGE”。
 高価買取所、鑑定所をみつけた。まだチャンスがあると、入店する。
 しかし、そこにはどんな恐持ての男よりも恐怖を感じた。
 心の中を読み解く、つまりが人間をも鑑定している。
 籤稿は名を尋ねた。
”緋影 零時(ひかげ れいじ)、その声からは恐怖を感じさせないほど穏やかなに名乗る。

 

 武条 剣宕(むじょう けんご 42歳)、消費者金融・MUSHOUを経営している代表取締役だ(無償を意味している、無条件担保・無条件出資できます)。
「消費者金融 MUSHOUで契約をする。が売りで、働いていなくても保証している。給与明細を提示しない利用者は、上限を10万円まで設定できる。それでうまく活用してもらうようにと注意勧告は出している。お手軽に、簡単にクレジットカードが発行できるのだ。このカードは大手デパートや提携しているショップで使用可能。その他いろいろのサービスを利用できる」
 だが、武条のほんとうの顔はちがう。裏稼業では悪徳企業の大物だった。それなりの社会的信頼を得た表面の顔を持っているから性質が悪い。
 いわゆる「やくざ」だ。売春・臓器売買・麻薬密輸販売…などを、表向き社会貢献として”運営”していると掲げる。
 やくざはバランスよく表、裏を営んでいた。
 おらおら、と組関係者のまえでは肩を振って歩く。しかしお客さんのまえでは、へつらへつらしている八方美人。髪を剃っている小太りの170センチの身長で、ビシッとスーツを着こなす強面のおっさんだ。しかしそんなふうには見えないように腰を低く接客することを取り繕っている。その時点で詐欺だ。
 そのおっさんが、いま籤稿のまえにいる。喫茶店でコーヒーを飲んでいる。テーブルの向かい側にひとりでいる。
「どこかでみたことあるおっさんだな」
 籤稿はどこかで会った記憶がある。その視線に気づいていない。結局思い出せないままそのときは喫茶店を出て行った。
 おっさんはまだ喫茶店内にいるが、籤稿と入違いにはいってきたひとりの若い男がそのおっさんのいる向かい側の席にすわった。そのあとのふたりの会話は籤稿はわからない。

「おう。きたか」武条はどすの利いた声を出した。これが地声だ。接客するときの声はおそらく一オクターブ上にあげるだろう。
「はい。これです」ビジネスバッグからビニール袋に入った手のひらサイズの包みを出した。その若い男は組の舎弟分だ。柄の悪い顔つきと態度からその手の若い衆というのがにじみでている。
「こんなところで出しても、以外にだれもみてはいないよ。ビビるな」
「へぇい。そうやすけど」
「言葉使いも少しは堅気らしく穏やかに話せ」
 武条は社会人としての心得をすぐさま指摘する。
「すいやせん」
 ちょっと指摘されただけでうつむくほどの小心者だ。
「よし、いいか」周囲に目配せをした。「これを持って例の場所へ行け。いいな」
「わかりやした」
 どうやら麻薬売買が行われる、その話だ。こんなひと目をはばからず、堂々としているのは武条ならではの手腕だろう。それだけ社会と接しているからイカツイ容姿でも、堅気資質をかもし出すことができるのだ。例の場所はどこかはわからないが、取引のある現場があるのだろう。そこに単身いって金と引き換えるのが、この若い男の仕事なのだ。
「サガク、おまえ―」武条は若い男が立ち上がるときに指摘した。「イッパシのサラリーマンみたいだが、態度がよくないな。マナー講座を受講しろ」
 社会人にまぎれるかのように普通のサラリーマンを装ってか、スーツを着こなしていた若い男。
 差嶽 延也(さがく のぶや24歳)。
「勘弁してくださいよ、そのマナー講座っていうんすか、俺には耐えられんすよ」
「ヘーヘヘヘヘヘッ、笑いが止まらんがな。行け!」
 若い男はぶつをビジネスバッグにしまい、いかにも新社会人のように装って、せわしく喫茶店を出ていった。
「さぁて、さっきテーブルの向こう側にすわっていた男、あいつを締め上げなきゃな」
 武条は、籤稿の存在に気づいていた。そして因縁があるようだ。機は熟しての眼光が鋭く向かれたのだ。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

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