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道 第二回 絵の好きな高校生

   

平成15年5月、プロの画家であり、絵画教室も営む山本啓子は久しぶりに美容院に出掛けた。そこで才能豊かな高校生の浅野雄介を見出した。

「うちに通わせて」と誘う啓子だが、浅野雄介を預かる伯母の美恵子は勉強が疎かになってはと躊躇うが、雄介の絵を見て、啓子の絵画教室に通うことを許す。

雄介は期待に胸を膨らませ、絵の勉強に通い始めるのだった。

 

第二章 絵の好きな高校生

平成15年5月、初夏の日差しがまぶしい。

「それじゃあ、啓子さん、今日はこれでね。」
「坂本さん、お疲れ様。またね。」

啓子は自転車や車が門を出て行くまで、見送っていた。

山本啓子、36歳。美大を卒業し、アメリカで画家として活動していたが、6年前に母の幸が病気で倒れたのを機に帰国した。

今は画家としても活動する傍ら、3年前から希望する者を集め絵画教室も主宰している。

  もう午後3時ね。髪を切りに行かなきゃ。

ここ2ケ月は展覧会に出展作の仕上げのため、美容院どころか、ゆっくり買い物に出かける時間もなかった。啓子は初夏の日差しを楽しみながら、散歩方々、美容院に出掛けた。

  珍しいわね、こんなところでスケッチしているなんて。

いつもの美容院の横で少年が絵を描いていたので、「ちょっと見せて。」と言って、スケッチブックを覗き込んだ。

  線の使い方がきれいね。本当に風が吹いているみたい。

「上手ね。」
「えっ、そうですか?褒められちゃったのかな。」

「啓子さん、いらっしゃい。準備は出来てますから、こちらへどうぞ。」

美容院から啓子を呼ぶ声がした。

「恵美子さん、彼は?」
「ああ、甥っ子なの。妹の子供で高校1年生。
 妹の旦那がアメリカ勤務になったので、ウチで預かることにしたの。まあ、用心棒替わりってとこね。
 絵が好きで、ああやって毎日描いてるの。」
「そうなの。」

ラジオからは「世界に一つだけの花」が流れていた。

「いい曲でしょう。」
「SMAPよね。」

恵美子がお気に入りなのか、啓子は髪の手入れをしてもらいながらも、ハミングしていた。

 

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