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SF・ファンタジー・ホラー

サクリファイス クロニクル編26

   

300年振りに迎えたエイハブとの決戦。
そこで、伝承と称したサクリファイスの本当の意味を知る。
それは、全ての絆に亀裂を入れる残酷な真実だった。

サクリファイスと呼ばれる怪物を描いた、ゴシックダークオカルトファンタジー!

 

 だが、3人での生活も長くは続かなかった。2日後の早朝、アーロンから速達が届いた。そこには、本日昼前、エイハブ達がその屋敷に向かうだろう。隣町に屋敷を借りたので、至急引っ越すようにとの内容だった。アーロンはカサンドラとの会見以来屋敷には戻らず、距離を置いていた。手紙と共に少し大きめの馬車も送られてきていた。
「直ぐに、荷物を纏めましょう。アーロンの指示に従うのよ」
 クレメンティーナが、静かに言った。
 僕等が、荷物を纏め終えたタイミングだった。外で、馬車の馬の悲鳴が響き渡った。無数の蹄の音と、沢山の固いブーツの足音が屋敷の前で止まった。
 僕は、クレメンティーナとロザリーナを隠し部屋に押し込め、僕だけカーテンの隙間から窓の外を覗いた。
「予定より、早すぎる」
 思わず、口に出してしまった。外では、エイハブを中心としたカサンドラ隊の男達が、屋敷を包囲していたのだ。背後には、水の入ったワインボトルをいっぱいに乗せた荷馬車が待機されていた。確認すると、僕はクレメンティーナへ状況を説明しに走った。
「それは、恐らくチャリスの泉よ。聖なる泉の水は、私達の弱点。神の力も効かないわ」
 ロザリーナが問うた。
「それは、神の力であのワインボトルを破壊したり、聖なる水を防いだり出来ないってこと」
 クレメンティーナが、頷いた。絶望的だった。彼女が、僕とロザリーナに纏めた荷物の中から、分厚い外套を手渡した。
「気休めだけど、無いよりはマシだから。彼等に関わらず、逃げることを優先しましょう」
 その時だった。入口の扉が蹴破られたのだった。
「何をされるのですか! 旦那様は、今は不在です」
 奴隷の女が叫んだ。
「勝手な事は止めて頂きたい」
 アーロンの連れてきた部下が、叫んだ。
「僕は、残る。何とか彼等を引き止めるから、ロザリーナとクレメンティーナは隙を見て逃げるんだ。わかったね」
 僕は、クレメンティーナが止めるのも聞かずに飛び出した。
「シャルルが、サクリファイスだってバレてしまう」
 そんな、ロザリーナの気弱な声が聞こえた気がした。
 クレメンティーナの貸してくれた外套を羽織り、隠し部屋を飛び出した僕は、隠し部屋のある部屋を飛び出し、廊下を走り、二階からエイハブを見下ろした。
「君達が探している人物は、今はいないよ。でも、僕も君達が探している一人だろう?」
 僕の声に、エイハブが顔を上げた。
「お前さん、幽霊か? それとも、ソックリさんの芸者か?」
 僕は答えた。
「魔女だよ」
 と。

 

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