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SF・ファンタジー・ホラー

サクリファイス クロニクル編27

   

エイハブの策略が、シャルル達を追い詰める。
油断したアーロンに降りかかる災難と、窮地に追い込まれたシャルル達の悪あがき。

サクリファイスと呼ばれる怪物を描いたゴシックダークオカルトファンタジー!

 

 全てが終わった日の事だった。アーロンもクレメンティーナも居なくなり、僕はロザリーナと穏やかな生活を過ごせるものだと思っていた。そう、ロザリーナが僕の屋敷に来た時の様に。
 だが、彼女の姿は無く、僕の机に一通の手紙が置かれていた。

 親愛なる、シャルル・アンリ・バシュロ・ナルカンへ。
 シャルル、私は貴方を愛しています。しかし、この愛情は錬金薬による、偽りの愛情かもしれません。
 貴方が、私へ与えてくれた愛情も全て、偽りだったのかもしれません。
 貴方が、私に与えてくれた真実には嘘が多く、やはり貴方を信頼する事が出来なかった私の心は、偽りと捉えられても致し方ないと思っています。
 きっと、貴方は言うでしょう。偽りでも構わないと。しかし、私は嘘偽りない心が、心だけは曇りない真実が欲しいのです。
 私は、我が儘な女です。何の力もなく、弱く、信じて守って貰う事しか出来ない女なのです。
 貴方の前だけでも、私は本当の私でありたかったのです。
 ごめんなさい。ママゴトは、もうやめましょう。
 私は、貴方と共にはいられません。もし、いつか貴方が私に真実だけを述べられる日が来たら、その時、私達の気持ちが錬金薬によるものではないと解ったら、またやり直せると、そう信じています。
 どうか、お元気で。
 貴方の、ロザリーナ・デ・ラ・ロサ。

 今度は、僕は眠らなかった。何故なら、ロザリーナと同じ様に時の流れを見送りたかったから。
 長い時間の中、僕はずっと迷ってきた。結果、全てを打ち明ける決意をするまでに、200年も要してしまった。
 僕はとても弱い人間だから、僕の手は汚れているから、僕の人生は軽蔑されるようなものだから。
 わかるかい? 二度と逢えなくなるより、いつか逢えるかもしれない希望が、僕の心を支えてくれていたってこと。
 そして、限界が来たのだ。独りでいる孤独に、耐えられなくなってきた。もし、全てを打ち明けても彼女が戻らないというなら、僕は再び眠りに付くつもりでいる。永遠にね。

*****

 

-SF・ファンタジー・ホラー


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