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道 第七回 耕三と栗原

   

年が替わって平成17年。啓子は雄介に飛翔展の準備を急がせるが、慢心が出てきた雄介は言うことを聞かなくなってきた。父の「今は心を鍛える時だ」という忠告が心の中で警鐘のように聞こえてきた。

一方、柴崎は飛翔展を利用した悪だくみを栗原に持ちかける。

そうした中、耕三は飛翔展の募集書類の中に、栗原はその応募書類の中に、互いに関わりたくない、関わってはいけない名前を発見する・・・

 

第十一章 慢心

年が替わって、平成17年。絵画教室も再開。

「雄介君、聞いたわよ。飛翔展に応募するんだって!」

期末テストやお正月休みで3週間ぶりの絵画教室。新年の挨拶もそこそこに話は美術展のことで持ちきりだった。今や雄介は教室の“アイドル”ではなく、“エース”、“スター”になっていた。

「へへ、今度も特選だったら、頬っぺたじゃなく、本当のチュウかな?」
「いいわよ、本当のチュウしちゃうわよ」

これまでの成績から、周りの者は良い成績を期待し、当然そうなるものと思い込んでいる。なんといっても17歳の高校2年生、ちやほやされれば驕りが出てくるのが当たり前。

今日、教室に出席したのも基礎を勉強するという思いではなく、騒がれたいという気持ちからだった。

「ほらほら、お正月は終わりよ。君はここにいなくていいから、テーマを決めて早く取り掛かからないと間に合わないわよ。」

啓子は一時も早く生活のリズムを戻して作品作りに取り掛からせたいが、雄介の緩んだ気持ちはなかなか元には戻らない。

「啓子先生、大丈夫だよ。今日は寒いから、ここで皆と一緒にデッサンの勉強だよ。」

 今は心を鍛える時だ

父のアドバイスが警鐘のように心の中で聞こえてくる。
啓子は気になってはいたが、雄介のそんな振る舞いを注意はしなかった。飛翔展が終わったら、父のアドバイスに従おう、そう考えて不安を抑え込んでいる。

「智子さん、晶子さん、デッサン始めてね。
 時間がなくなるわよ。」

全ては飛翔展が終わってから、そう割り切って、啓子は絵画教室のレッスンに集中した。

 

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