幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

SF・ファンタジー・ホラー

サクリファイスⅡ 完結編2

   

現代で退屈で平和な毎日を過ごすシャルルの前に、再びシンディが現れる。
そして、愛するロザリーナまでも。

オカルトファンタジー、第二弾!

 

 ウエイトレスは、着替えを済ませた後、シャルルの向かいに同席した。同じウエイトレス仲間が、羨ましげに眺めていた。
「エリザ、何にする?」
「珈琲に、するわ」
 運ばれたエリザの珈琲と、追加で頼んだシャルルの珈琲が運ばれる。
 シャルルは、珈琲を飲みながらふと窓の外を眺めた。先程まで晴れ渡っていた空は曇り、窓硝子にぽつぽつと雨粒を携えていた。
「雨が降ってきたみたいだ」
「明日も、雨みたいよ」
 店内に流れるラブソングが、何となく切なさを覚える。
 エリザの後に、またバイトを終えたウエイトレスが一人増えた。いつものようにシャルルは会話に加わらず、ウエイトレス同士の雑談をただ黙って聞いているだけだった。
 雨は、夜に掛けて強さを増した。
 夕飯時に掛けて、今度はアルコールを求める客が増え、それ合わせてバイトが二人出勤した。アメリーと新人だった。
 アメリーは、シャルルがいると聞いて、慌ててホールに飛び出してきた。シャルルはそれを見て、アメリーを少しからかった。
「まだ出勤には早いよ」
「シャルルに、もう会えないと思ってたから、帰る前に会いたかったの」
 アメリーは、頬を膨らました。ウエイトレス仲間からケーキの事を聞き、彼女はシャルルに丁寧にお礼を述べた。
 暫くして、店長が新人を連れてきた。シャルルは、新人の顔を見て驚いた。
「シンディ」
 思わず、昔の知った名前が口から溢れた。蜂蜜色の髪と青い眼の女性は、五百年前と二百年前に出会った彼女によく似ていた。
 シャルルは思わず、自分の口を左手で押さえていた。そして、直ぐ様弁解するように声を上げた。
「ごめん、知り合いに似ていたから」
 だが、新人の彼女は目を丸くして言った。
「私も、シンディって言うのよ」
 そして、自己紹介を続ける。
「シンディ・カーペンター。夜だけだけど、今日から働きます」
 言って、店長がシンディに言った。
「彼は、うちの常連客よ。覚えておいてね」
「もう覚えました」
 屈託無く笑う、シンディ。
「よろしく、シンディ」
 シャルルは言葉では冷静さを意識しつつ、心の中では動揺していた。もしかしたら、また……。そんな嫌な予感が、彼の中に渦巻いていた。

*****

 

-SF・ファンタジー・ホラー


コメントを残す

おすすめ作品