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道 第十一回 スキャンダル

   

第20回飛翔展は華やかに開幕した。国会議員、教育委員会等、多方面から祝辞が寄せられたが、一方で、「入選枠の売買があったのではないか」等の黒い噂がささやかれ、それを証拠づけるような録音テープがインターネットに流され始めた。

それらを柴崎は持ち得る力で有力者に働きかけ、抑え込んだ。

しかし、木下久美子が「私は柴崎の手引きで栗原に弄ばれた」と暴露したことから、全国的な大スキャンダルになってしまった。

事態は財力、政治力を背景とした柴崎・栗原と市民団代の後押しを受けた久美子との法廷の場での対決に発展していった。

 

第十六章 奇妙な噂

平成17年5月、第20回飛翔展が華やかに幕を開けた。

「柴崎さん、大変素晴らしい機会を作って頂き、本当にありがとうございます。県内の各校で美術部に入りたいという子が多くて困ると、嬉しい悲鳴が上がってますよ。」
「いやいや、先生のところの生徒さんたち、とても熱心に見学されてますね。やはり先生のご指導が行き届いていますね。」

県内の主だった高校の校長先生を招待したパーティでは、あちらこちらで柴崎を称賛する声が溢れていた。

しかし、美術関係者の間では、老舗の前田画廊が共催から外れたことで様々な憶測を呼んでいた。

「前田社長が怒っているらしいよ。」
「俺も聞いたよ。彼に断りなく、栗原画伯を特別審査員にしたことで、随分とおかんむりのようだ。」
「いや、そんなことじゃないらしいよ。結局は共催金の額で折り合わなかったようだ。」
「まあ、いずれにしても、柴崎の勝ちじゃないか。
 あのように校長先生たちに囲まれているところを見ると、今回の企画、高校生に飛翔展を解放したことは大成功だったということだ。」

柴崎とは一線を画している、言わば〝反柴崎派〟の者たちは会場の隅からセレモニーを冷ややかに見つめていた。

 

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