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道 第十六回 耕三の心

   

耕三の過去を中傷する出所不明の怪文書に、彼を慕う雄介は内容はつまらないものだが、ライバルで親友の松森治を傷つける個所はよくないと憤り、啓子に彼を守って欲しいと頼んできた。
しかし、当事者の耕三は「あれは真実だ」と啓子や取材にやってきた田村に告げる。
「心を鍛錬しろ」と言った師、牧野大雅の心を理解できていなかった自分の未熟さが事件を引き起こしたと、耕三は説明する。
副島から「怪文書にはペンで対抗」と派遣された田村だが、「自分のことをどんなに悪く書いてもいい。しかし、若者には無限の未来があるんだ。その可能性を誰が潰していいんだ!」と熱く語る耕三に強く魅かれていった。

 

第二十七章 若者の反応

さすがに、出所不明の文書を取り上げる大手マスコミはなかったが、年末から年始にかけてインターネット上では様々な投稿が相次ぎ、1月半ばになると、それを追いかけるようにして、スキャンダル的な記事が週刊誌を飾り始めた。

「啓子先生、変な記事が出ているんだけど、これ読んだ?
 じいちゃんの件は以前に教えてもらっているから、気にしないけれど、治は何も悪くないのに、こんなことを書かれてかわいそうだよ。」

雄介が週刊誌を手に握りしめてやって来た。

「心配かけてごめんなさい。前にも説明したけれど、これは昔のことほじくり返して、事実と異なることも含めて書いているのよ。昨日、松森君に会って話したのよ。彼、『懲りないんですね。あきれちゃいますよ。』って、落ち着いてたから、大丈夫よ。」
「本当?せっかく元気になったんだから、啓子先生、お願いしますよ。」
「分かっているわよ。前も言ったけれど、この件で君たちに迷惑がかからないように、全力で守るから。」

雄介君の言う通り。元気な松森君でいて欲しい。

「分かった。じゃあ、じいちゃんのところに行くから。」
「後でお茶を用意していくから。」

雄介を見送りながら、啓子は一つ心配なことがあった。
これまで耕三はインタビュー等、マスコミと会うことを全て断っていた。

関係者の証言は取れた。
でも、お父さんがインタビューを受けてくれるないと、なぜ彼を許したか、最後のパーツが埋まらない・・
やるしかないわ。

啓子は心を固めて田村に電話を掛けた。

 

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