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SF・ファンタジー・ホラー

サクリファイスⅡ 完結編7

   

アーロンの眠る場所を探すシャルルとロザリーナは、イギリス行きを決意する。

オカルトファンタジー、第二弾!

 

「ごめん、考え事をしてたんだ。本当に、美味しいよ」
 シャルルは、笑った。
「不思議ね、シャルルといると、なんだか懐かしい気がするの。年も、もしかしたらシャルルの方が上かもしれないのに弟みたいに思えたり。ううん、もっと愛情があるかもしれない。でも、奥さんから取ろうだなんて思っていないわよ」
 リュリュが、笑った。
「私の父って、よく知らないんだけど不思議な研究をしていたんだって。考古学、みたいな。このペンダントだけど、その時に見つけたんじゃないかなって、母さん言ってたの」
「その話、もっと知りたいな」
「私も、母さんから聞いた話でしか知らないんだけど。イギリスの深い森で、お墓みたいな洞窟を調査してたんだって。だけど、どうしても奥に進めなくって、調査は中止になって、今は立ち入り禁止になってるって。そのくらいしか知らないわ」
「リュリュ、面白い話をありがとう。パスタもとても美味しいし、今日は最高の日だ」
「言い過ぎよ。また、ランチに付き合って頂戴!」
 リュリュの部屋にはそれほど長く滞在はしなかったが、自宅のインターネットでリュリュの話を検索していた。なんとなく場所は、オカルトスポットとして検討が付いたが、確かな情報はこれっぽっちもなかった。
 火の玉、うめき声、水の音……。そんな漠然とした記事しか見当たらなかった。
 シンディ、リュリュからの話で、錬金術の呪縛に二人が捕らわれているのは確信が出来た。だが、他の人達は?
 シャルルの頭は混乱してきた。そのせいか、気付くと彼は眠っていた。
「シャルル、起きて」
「お帰り、ロザリーナ」
 ロザリーナに起こされ、寝ぼけ眼で時計を見れば夜も二十時を過ぎていた。
「全然起きないから、起こしちゃったわ。私がね、夕飯を作ったのよ。肉を焼いただけだけど」
 ロザリーナはそうは言ったが、テーブルにはハンバーグと野菜のトマト煮込みが並べられていた。
「何か、面白い話はあった?」
 ロザリーナは、得意そうな笑みでシャルルを見た。シャルルには解った。何も無い、の答えを期待しているな。と。
「ロザリーナの、その笑いは苦手だな。君の期待通り、何も無いよ。ただ、リュリュが不思議な洞窟の話をしてくれたから調べてみたんだけど。ただのオカルトスポットみたいだ」
 彼女は、目を見開いた。
「あら。そんな情報があるなんて、予想外だわ。手料理を作った甲斐があったわね」
 彼は、何故か照れてしまった。
「私は図書館で調べてた訳だけど、まあまあの収穫だったってとこかしら。なんというか、多からず少なからずってとこなのよ。記録が」
「記録?」
「そうよ、カサンドラ隊についての記録よ。それと、それに関するその後の資料。おまけみたいな情報でしかなかったのだけれど」
 ロザリーナは、少し勿体ぶった。
「それより、シンディやリュリュと話してみてどうだった? 貴方の心は、動いたかしら」
 シャルルは、口を尖らせた。
「僕の心は、君だけだ。長い間、ずっとそうだったように、これからもずっとそうなんだ。今日、二人に会ってそれは確信した。確かに、シンディは五百年前のシンディのままだったし、リュリュだってそうだった。でも、二人とも僕を覚えていない。寧ろ、この忌まわしき呪縛に引きずり込まれただけにすぎない、可哀想な被害者なんだ。僕等のように大きな力を手にした訳でもない。だから、彼女達を救うことが、僕が出来る唯一の償いだとそう感じている」
 シャルルは、思いの丈を一気に捲くし立てた。

 

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