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道 最終回 和解

   

平成26年10月、パリに出直し修行に行っていた栗原陽一朗が2年ぶりに帰国した。再び仲間に引き入れようとする旧柴崎一派の誘いを振り切り、栗原は咲と再会し、耕三のもとに向かおうとした時、久美子に刺され息を引き取る。師に詫びることが出来なかったが、咲は弟は久美子に詫びなければいけないとうわごとにように繰り返した。
葬儀の後、耕三は集まった皆に「彼は決して恵まれた道を歩んだわけではない、努力して勝ち抜いてきたんだ。」と言った。
咲は栗原の遺影に語りかける、「耕三さんは許してくれた」と。

 

第三十一章 死

平成26年10月、2年ぶりに栗原陽一朗が帰ってきた。

「咲さん、敬一はすっかり元気になったな。ほら、どの新聞もいい記事を書いているよ。」
「そうですか、ちょっと見せて下さい。」

 〝創作意欲衰えず 栗原画伯、笑顔の帰国〟
 〝若者よ、チャレンジせよ 激を飛ばす栗原画伯〟
 〝ヨーロッパ王者 凱旋〟

「何ですか『ヨーロッパ王者』って?プロレスみたい。」
「ははは、スポーツ新聞は派手だからな。」
「副島さんが手配してくれましたから、安心ですね。」
「ああ、午後9時には連れてくると言っていたよ。」
「何年振りですか?」
「もう数えられないな、ははは。」

1ケ月前、パリから「鈴木敬一」の名前で耕三宛てに手紙が来ていた。

そこには事件のお詫びと耕三への感謝が、そして、帰国時に会いたいと書いてあった。43年振りの師弟の再会はもう直ぐである。

その頃、県庁近くのホテルでは県美術連盟主催の「栗原画伯、お帰りなさい!」と題する歓迎パーティが開かれていた。

数年前、無罪とは言え刑事事件の被告となったため、政治家等の出席はないが、美術関係者はほぼ全員が出席していた。しかし、栗原と柴崎は2年前に喧嘩別れしたままで、儀礼的な挨拶を交わすだけで、見かねた長谷川社長が二人を呼び寄せた。

 

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