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歴史・時代

ハヤブサ王 第5章 〜隼は天に上り飛び翔る(2)

   

 ヤタノヒメミコは、ワケノミコの体を求めた。だが、イワノヒメの悲痛な思い出があるワケノミコは、ヤタノヒメミコの誘いを拒否してしまう。
 どうしてもワケノミコの愛が欲しいヤタは、ある妙案を思いつく。その妙案とは…。

 

 ワケノミコは、人の気配に目を覚ました。
 美しい瞳と目が合った。
 思わず声を発してしまった。
「し、静かに」
 声に聞き覚えがあった。ヤタノヒメミコである。
 ヤタノヒメミコが、ワケノミコの上に圧し掛かっているのである。
「ヤタ様、何を?」
 ワケノミコは、擦れた声で訊いた。
「いいから、何も言わないで」
 そう言うとヤタは、ワケノミコの唇をそっと塞いだ。温かい感触が、乾いた唇を覆った。
 久しぶりの口付けである。ワケが宮に上がった前夜以来だろうか。
 男は、しばしその柔らかい感触に酔いしれた。
 ヤタの長い舌が入り込んできた。ワケの舌を求めて、口の中でくねくねと動き回る。ワケも、ヤタの舌に己の舌を絡ませていった。舌先と舌先がくっつくと、ねとりという粘っこい音がした。その卑猥な音に、一組の男女は欲情の炎を燃え上がらせた。
「ああ、ヤタ様」
「ワケ、ワケ」
 男は女の背中に腕を回し、女は男の腰に足を絡ませた。
 男の唇が女の首筋に落ち、女の指先が男の髪を掻き毟る。
 ワケノミコは忘れていた。抱いている女が、大王の妻だということを。
 ヤタノヒメミコは忘れていた。自分が、大王の后だということを。
 二人は、あのころの二人に戻っていた。メトリと三人で仲良く暮らしていたころの二人に。愛し合い、互いの体を貪りあったあのころに。
 ワケノミコは、女の襟元を開き、豊かな乳房を吸った。
「ああ、ワケ、きて、私を抱いて。もっと激しく」
 女の帯紐を解き、陰部を露にした。白い太股の間に指先が落ちると、ぬめりとした感触が襲った。
「あうっ、いい、ワケの指、すごい…」
 指が動くたびに、ヤタは歓喜の涙を流した。
「だめ、もうだめです。入れて、ワケ」
 ヤタノヒメミコは、男の腰紐を解いた。熱を帯びた陰部が、彼女の下腹部に当たった。
「さあ、きて、ワケ、あのころのように」
 あのころのように。そう、二人で愛し合ったころのように。では、今は?

 

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