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幻影草双紙83〜殺し屋〜

   

 殺し屋の仕事は現金決済で行われます。
 税務署の関係もありますので。

 

 
 そのマンションは、湘南の海を見渡せる位置にあった。
 築10年の中古であるが、立地がいいので、値段は下がらない。
 黒沼譲二にとって、そのくらいの値段は、問題ではなかった。
 即金で買い取り、自分の趣味にあわせて、部屋を改造したのであった。
 海の見える場所に、自分だけの隠れ家を持つ――。
 そこで、ビジネスの戦略を練る――。
 そういう雰囲気に浸りたかったのである。

 黒沼譲二は、いくつかの会社を持つ実業家である。
 現在の表向きの顔は、〈実業家〉ということなのだ。
 その実体は、暴力団の親分である。
 若い頃からグレて、暴力団の道に入った。
 持ち前の体格と頭の良さで、メキメキと頭角を現した。
 そして、ついには関東黒沼会の親分になったのである。
 裏街道のトップになると、今度は、表社会で名声が欲しい――。
 それで、いくつかの会社を作り、そこの社長となったのである。
 表社会では、〈会社社長〉という名刺を出すのだ。
 会社社長ともなると、それなりの生活をやってみたい――。
 というわけで、ポケットマネーでマンションを買って、改造したのであった。

 

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