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歴史・時代

ハヤブサ王 第5章 〜隼は天に上り飛び翔る(4)

   

 ワケノミコは悩んだ。
 メトリノヒメミコを宮に連れて行くことはできない。彼女がそれを嫌がっている。何より、ワケ自身が彼女を愛してしまった。彼女を大王へ渡すつもりもない。
 ――これ以上、愛する人を失いたくはない。
 だが、大王軍と戦うこともできない。大王軍を敵に回すということは、この国の豪族全てを敵に回すのに等しい。
 それに、大王軍といっても、本当のところはヤタノヒメミコが軍を派遣したのだろう。ヤタノヒメミコと争うことはどうしても避けたかった。
 ワケノミコは、従者たちに問うた。
 従者たちは、「向こうがその気なら遠慮することはありません。徹底抗戦です」と勇ましい。
「そうです。豪族のなかには、いまの大王の政策に反感を持っているものもおります。民も、大規模な宮や墓造りで、大王に不信感を抱いております。ハヤブサ王様が立てば、多くの豪族や民がついてくるはずです」
 ワケノミコは、オオタテに意見を訊いた。
 オオタテは、自分たちの不用意な言葉が今回の事態を招いたことを謝ったのち、ワケノミコに大王軍と戦うことを勧めた。
「ワケノミコ様、やりましょう。我ら、ワケノミコ様のためなら命などいりません。ワケノミコ様が死ねといえば、立派に死んでみせます」
 オオタテは、涙ながら言った。従者たちも泣いた。
 ワケノミコも、涙を零した。
 メトリノヒメミコにも問うた。
 彼女は涙を流して懇願した。
「いや、絶対いや。大王のところに行くなんて、あたし、絶対にいやよ。あたしは、あなたと一緒にいたいの」
 メトリは、ワケノミコに抱きつき、激しく求めた。

 

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