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歴史・時代

ハヤブサ王 第5章 〜隼は天に上り飛び翔る(4)

   

 ハヤブサ王が、立った。
 が、思ったよりも兵は集まらなかった。豪族たちに呼びかけても、呼応するのは僅かであった。
『ハヤブサ王、立つ』の報せに激怒したのが、ヤタノヒメミコであった。
「なんですって、ワケノミコが反旗を翻した。おのれ~! 許せません。断じて許せません。大和の豪族を全て徴収して、徹底的に叩き潰すのです」
 愛情は嫉妬に変わり、嫉妬は憎しみに変わった。
 ヤタノヒメミコは、全豪族を召集した。
「ヤタ、何もそこまでしなくとも。ハヤブサ王にもわけがあるのでしょう。戦を避けて、よくよく話し合おうではありませんか」
 大王が諫めるのだが、ヤタは聞く耳をもたない。
「あなたがそんなんだから、ワケノミコごときに馬鹿にされるのです。戦のことは私に任せて、あなたは奥に引っ込んでいてください!」
 大王は、肩を落として奥へと下がっていった。
 実質上の権力者であるナカヒメも、今回の事態を憂慮していた。
「ヤタ、これほど大規模な兵を送らなくてもいいのではないですか?」
「何を言うのです、お義母様。大王に反逆するものは、徹底的に叩き潰すのです。でなければ、今後同じような輩が出てきますよ。そうならないためにも、大王家に逆らったものはどんな悲惨な末路を辿るのかを見せ付けてやるのです」
 ヤタの目は、血走っていた。
 ナカヒメは、その目に恐れ、慄いた。
 この事態に一番驚いていたのが、丸邇氏の族長ヒレフノオオミであった。
 ヤタノヒメミコもメトリノヒメミコも、オオミの孫娘である。しかも、ワケノミコは丸邇氏の庇護を受けてきた。いうなればこの戦、丸邇氏の内乱でもあった。
「后様、ここは私にお任せください。ハヤブサ王様とメトリノヒメミコ様を説得して、つれてまいりますので」
 これに対して、ヤタノヒメミコはきっぱりと言い切った。
「もう遅い。邪魔をするようなら、あなたの一族ごと潰しますよ」
 ヒレフノオオミは、口を閉ざした。

 

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