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SF・ファンタジー・ホラー

憂鬱の中の安らぎ

   

雨の日は憂鬱になってしまう
作家である私は、憂鬱になる気持ちを抑える為に、新米担当の彼を怖がらせることを唯一の楽しみにしている
そろそろ話のネタも尽きかけてきているが――

そんな作家の私が新米くんに聞かせた話というのは、なぜ私の髪が長いのか…ということ

それには意外な過去があって…

 

 
 和室に座椅子、木目がレトロ感を演出している机の上に、数文字で止まった原稿用紙の束、その横にインクを入れ替えたばかりの万年筆が置かれている。
 私は着物の襟はしを気持ち直しながら、障子を開けた。
 今いる部屋は書斎で、その場所から見えるのは中庭。
 和を感じさせるような造りではあるが、人に自慢して見せられるほどのものでもない。
 それでも、創作している時の息抜きにはちょうどいい安堵感が私にはあるのだから、充分だと思っている。
 だがしかし、この時期はどうしても憂鬱になってしまう。
 止むことのない雨。
 この雨、今日で何日降り続いているのだろうか。
 もう、数えるのも面倒くさくなってしまっている。
 
 それくらい、降り続いている。

 まあ、仕方ない。
 そういう時期なのだから――

 私はそう何度も自分に言い聞かせながら、縁側の先にある中庭に咲く、とある花に目を向けた。
 土の養分によって花の色が変わるという、ちょっと珍しい花。
 そんな前説をすればなんだろうって興味持たれるけど、そうたいした花じゃない。

 

-SF・ファンタジー・ホラー


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