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SF・ファンタジー・ホラー

サクリファイス㈼ 完結編12

   

復活したクレメンティーナから、錬金薬誕生の秘密が明らかにされる!!

オカルトファンタジー第二弾!

 

「一度、私の身体を迎えに戻りましょう。その後、シャルルと相談して、また出直すの。ここで考えていても、始まらないわ。シンディと言ったわね、私の身体に案内して頂戴」
 クレメンティーナに言われ、シンディは頷いた。
 一旦、カフェのロザリーナの元へと戻った。シャルルのプネウマである蝶はひらひらと舞い、ロザリーナの髪に止まった。
「シャルル、どうだった?」
 シャルルの身体であるクレメンティーナが、前に出た。
「ロザリーナ、お久しぶりね。随分、外の世界は変わってしまったようね。教えて貰わないと」
 クレメンティーナは、周りを見渡した。簡易な服装に、男女が自由に手を繋ぐ。そして、鉄の乗り物はとてつもなく速く過ぎ去っていく。馬なんて、どこにも居なかった。
「あれから、二百年が過ぎました」
 目を丸くして、ロザリーナが立ち上がった。
「技術の発展は著しく、人類の進化に大きく影響を与えました。大きな戦争が何度も繰り返され、人々は戦争に対する考えを変えました。今は、退屈な程に平和なんです」
 クレメンティーナが、笑って見せた。
「ロザリーナは、どう思いますか? アーロンは、このまま眠りにつくべきだと、そう感じますか?」
 クレメンティーナは、意外な事を口にした。
「錬金術の副作用は、止める必要があると私は思っています。その為に、貴女達二人を捜した。けれど、正直に言いましょう。アーロンにとっては、つまらなく虚しい世の中になってしまったと」
 クレメンティーナの表情に、少しだけ笑みが生まれた。そして、彼女は間を置いてから口を開いた。
「私の知っている全てを、話します。ここではなく、何処かゆっくり話せる場所へ」
 ロザリーナは頷き、ホテルへと案内した。
 ホテルに着くと、シャルルもクレメンティーナも、自らの身体へと戻った。そして、二人抱き合って再会を喜んだ。
「シャルル、服が汚れてるわ」
 感動の再会の間を縫って、シンディが蒼い顔で声を出した。
「ああ。洞窟で、人間避けのトラップがあったんだよ。とっくに再生してるから、忘れてた」
 シャルルはその場でシャツを脱いだ。
「シャルル。レディの前よ」
 ロザリーナが、咎めた。
「シャルルは、相変わらずね」
 クレメンティーナが笑った。
「あのう、クレメンティーナさんは、あのお話に出ていた?」
 シャルルが頷いた。
「そう。僕の母で、プロメテウスの火だ」
「シャルル、その呼び名は嫌いよ。貴女こそ、何故私達を?」
「彼女は、かつてのカサンドラ隊の生け贄なんだ。僕と共に焼かれ、エイハブの罠で処刑された。でも、今は違う。彼女は一人の女性であり、錬金術の副作用の輪の中にいる。なんとか、この運命を終わらせたいと思っているんだ」
 ロザリーナが、補足した。
「平和な世の中だから」
「彼女は、まだ人間なのかしら?」
 シャルルが、頷いた。
「人間は、人間として生きるのが、幸せよ。何にも縛られる事なくね」
「そんな! 死の恐怖、病の恐怖に晒されないなんて、素晴らしい事ではないんですか? それに、何より老いることがないなんて」
 クレメンティーナは、笑った。
「誰でも、そう思うわ。永遠を手にするまではね」
 そして、クレメンティーナは一息吐いた。
「さあ、私の話をしましょう」
 と。
 彼女の話もまた、壮絶であった。

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