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歴史・時代

ハヤブサ王 第5章 〜隼は天に上り飛び翔る(5)

   

 ワケノミコとメトリノヒメミコに隠された驚愕の事実。その事実を知って、ヤタノヒメミコは愕然とする。
 一方、ワケノミコとメトリノヒメミコは山の民に助けられ、一命を取り留める。だが、彼らに最後の試練が忍び寄っていた。
 ワケノミコ、メトリノヒメミコ、そしてヤタノヒメミコ、三人の愛の結末は…。
 古代史ロマン、ここに完結!

 

「三日三晩、山中を捜しまわりましたが、どこにもお姿はありませんでした」
 追撃部隊のホムチベノオフナの言葉を聞いて、ヤタノヒメミコはしばし呆然とした。
「険しい山ですので、行き倒れになり、そのまま獣に…」
「もうよい。それ以上言うな」
 オフナは、押し黙った。
 憎き相手とはいえ、異母弟と実の妹である。山で遭難し、遺体を獣に荒される姿など想像したくはなかった。
「それで、イワサカヒメは?」
「お二人の姿を捜して山中をさ迷っているところを発見いたしました。ヤマベノオオタテ殿は見事な最後でした」
「そうか…。イワサカをこれに」
 イワサカヒメは、青白い顔をして引き出されてきた。髪も乱れ、着物もずたずたである。
 彼女は、ヤタノヒメミコの顔を見るなり、さめざめと泣き出した。
「イワサカヒメ、最後まで二人についていてくれたのですね。礼を言います」
「后様、こんなのあんまりです。実の妹様と弟様に兵を差し向けるなど…」
「ええ、でも、私はどうしても…」
 ヤタノヒメミコは、はたとイワサカの顔を見た。
「実の弟? ワケノミコは異母弟でしょう?」
 そう問うと、イワサカヒメはあっと漏らして、口を塞いだ。
「どういうことです? ワケノミコは私の異母弟ではないのですか? イワサカ、答えなさい」
「実は…」と、イワサカヒメは言いづらそうに答えた。「お二人は双子なのです」
 ヤタノヒメミコは、双眸を見開いた。
「当時、ある巫(カムナキ)が双子は大王様の命を縮め、国を滅ぼすと根も葉もないことを…、それを真に受けられたホンダワケ大王様がお一人を始末せよと」
「それがワケノミコなのですか?」
 イワサカヒメは頷いた。

 

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