幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season1-4

   

 数日が過ぎて、御影は就職先を探すために、ハローワークにいた。だが、これといって興味ある職種はなかった。
 ひとり途方に暮れながら、気晴らしをするために百貨店のインテリアショップに赴いた。気まぐれに。

 同じ頃、氷室名探偵はスーツを新調するためにオーダーメイドできる馴染みのショップに立ち寄り注文をしていた。
 その帰りのとき、なぜか気がむいたのが同じ百貨店内の10階の本屋に行く。

 そして事件が起きた。予想ができないのが事件だ。それを知っているのは犯人ただ一人。

 だが、嗅ぎつけてしまうのが、真の名探偵だった。

 被害者は頭部から出血して倒れていた。これは殺人事件か、それともただの事故か。刑事が現れ捜査ははじまるが、事実をひとつひとつ見ていく刑事のやり方に、ついに姿を現した。

 そこには氷室名探偵と、探偵志望の御影が偶然いたということ、だが互いはまだしらない。

 

 それから数日が過ぎた。

 御影は探偵をあきらめるために、ふたたび池袋のハローワークに足を運ぶことにした。が、とりわけめぼしい案件はなかった。むしろ、落ち込む気分になる。

「世界は、おれに仕事をさせないつもりだ―」

 自暴自棄に陥っていた。

「あああああ! うさを晴らしたい」
 目つきはギラつき、牙を剥いたような犬歯が太陽光に反射している。顔の筋肉が上に引っ張られていた。
 まさかに狂犬のような顔だ。

「腹減った」

 御影は池袋駅近くの飲食店に入り、しょうが焼き定食をたべていた。ご飯はおかわり自由、味噌汁もおかわり自由。学生にはうれしすぎる店だった。
 だが、長居はしない。アイスコーヒーがまずくてしかたがなかったからだ。
「飢えたときには良質な店だ。500円。ほんとう良心的な店だ。だが、食後のひと時は喫茶店に移動するしかない。長居させないためにも、まずいものでしめくくるという、無言の追い出す圧力が店側からあるようだ」

 気持ちも胃袋も満たされて、ゆるく引き締まらない顔になっていた。

 探偵を目指していたときにはできない顔になっている。
 御影の頭のなかにまだ自分が探偵になっているイメージが泥のようにへばりついていた。

 情けない自分がわるいわけではない。クリアしなければならない課題に回答できなかった自分がわるい。たとえ理不尽でも。探偵の本質は理不尽なことばかりだと、そういっていたのだろう。

 御影は考えることをやめるために、百貨店で買い物でもしようと入店した。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season1<全6話> 第1話第2話第3話第4話第5話第6話

コメントを残す

おすすめ作品

アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編 第34話「それでも――――」

   2017/11/20

探偵の眼・御影解宗の推理 【嘆きの双子】15

   2017/11/20

ロボット育児日記39

   2017/11/17

忠実な部下たち

   2017/11/17

モモヨ文具店 開店中<36> ~帰り行く者~

   2017/11/16