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不思議なオカルト研究部 第一話 蕎麦屋の石臼 後編

   

「私はねぇ、石臼の方に何かあると思うんだよねぇ」と、緑ヶ丘が意味深に言う。三人が緑ヶ丘の方を向いた。

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 店の女将と思しきエプロン姿の老婆に案内され、四人はテーブル席に座った。すると柳田は内緒話を持ちかけるようにテーブルの中心に顔を寄せ、ちょいちょい、と手招きの仕草で他を呼び付ける。四人の顔がテーブル上で迫った。
「見ろ、カウンター越しに厨房が見えるだろう? あそこにいる白衣を着た老人が妖怪だ」
 全員の目線がそちらへと向く。確かに、そこには働く白衣の老翁がいて、入店時に注文したばかりの「ざる四つ」に取り掛かっているらしい。それはどう見たって――
「どう見たって御店主じゃないですか」
 直也は遠慮なく言った。そこそこ礼儀正しいと柳田に評された彼であるが、実際の人間を妖怪呼ばわりするのには付き合い切れないのだろう。
 他の部員も似たような反応で、緑ヶ丘は「そうねぇ…」と言い、石動は「蕎麦まだっすかねぇ…」と食べることにしか興味が無さそうだった。
 それに対して、更に持論を繰り広げて抵抗するのではと直也は身構えていたのだけれど、意外や意外、柳田の反応も薄かった。「ふぅむ…」と一声唸って、腕組みをして何か考えるような表情をし、黙った。
 しばらくすると蕎麦が運ばれてきた。我先にと汚い箸の持ち方で蕎麦を啜った石動が歓声を上げる。
「わっ! この蕎麦めっちゃくちゃ美味しいっすよ! コンビニの蕎麦とか話にならないくらいっす!」
 比べるのがコンビニでは何とも言えないが、しかし、続けて口を付けた緑ヶ丘と直也も感想は同じだった。
「ほんと、とっても美味しいわ。こんなに美味しいお蕎麦初めてかも」
「ホントだ、すごい……」
 そんな三人を見て柳田は満足げだった。うんうんと頷き、そうだろう、そうだろうと言わんばかりのしたり顔を上下させる。それを見て、直也は思ったままを口にした。
「柳田先輩、ひょっとして妖怪って話は口実で、実はこの蕎麦を誰かに食べさせたかったんじゃないですか?」

 

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