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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season2-2

   

 探偵のメンバー紹介が続くが、女性もいたり、事情があって探偵になったものもいることがわかった御影。
 また探偵同士のいざこざがあるという、仲間であってそうでもないことがあることもわかった。

 だから安易に馴れ合いはしないのかもしれない。裏切りられやすい環境にいるのもまた事実だ。

 それが探偵とでもいっている森谷だった。

 座学研修を終えて、ついに御影は調査にあたる。Dランクのペット捜しだ。気が抜けてしまったが、これがわりと苦悩する依頼であった。

 まだまだ探偵として未熟な御影も、日々のやる気や学習能力の速さで、現場に適応していった。

 さらなる意気込みが増していく。

 

「つぎに、水桐 音羽(ミズギリ オトワ)27歳──」

 御影はさらにニンマリとした。「やけに美人だな」

「こちらも若き期待の星、美人でスタイル良しの女流探偵だ」

「女流? 将棋か囲碁でもやるの?」御影は茶化した。

「ほう、ほんとうに察しがいい。彼女は趣味で将棋と囲碁をやる。そして、その頭脳明晰からそう呼んでいる」

「そうですか」御影はちょっと話しが合わなさそうなタイプだと悟った。自分が将棋や囲碁のようなテーブルゲームをしないからだ。お堅いイメージがある。

 森谷はつづける。「B任務とC任務を専任としている。女性ならではの視点からズバズバと意見を言い放っていくよ彼女は──」

「へえ、言葉で切り裂かれそうだな」

「髪型は特徴のあるアサインメントリーでフェイスラインに沿うほどの長さ。黒髪。細めの目ときりっと整った鼻、薄い唇が鋭利な刃物のようだ。全体的に体形は痩身だが、168センチはあるぞい」森谷はなぜか御影をみつめながら眉を上下に動かし、からかっていた。

「で、このひとの特技かなんかあるんですか?」御影は興味なさそうに話をすすめさせた。

「カメラや身を隠すことが得意。将棋や囲碁をやっているからか、先手必勝の手法で探偵業にいかしている。尾行や隠し撮りの証拠を収集するには打ってつけの人物だ。性格がものいう」

「そうなんだ。そういう適性があるってわけだ──」

「そういうことだ」森谷がうなずきながらいった。

 御影は純粋にたずねた。「でも、あれだけ秘密主義なことをいっておきながら、ここまで個人の紹介を第三者がするのはどうして?」

 自己紹介は当人同士でやるのが普通だとおもうし、社会人はまず名刺からのご挨拶、ってのが常識だ。
 社会人経験のない御影でもそのくらい理解していた。テレビドラマやニュースやバラエティー番組の特集でそういう日常における常識非常識問題をクイズにしている、そこからの情報でじゅうぶん社会人としてのマナーを学習していた。

「うーん、たしかに、とうぜんな疑問だろう。だが、朝の挨拶をしたのち、のんびりと構えているほど時間に猶予はない。みんなすぐに社を出て、それぞれの任務にあたっているよ。最近、いろいろ依頼がきていてね。人材募集を受け付けているのはそういう理由もあるのだよ。猫捜しも新人にだってできるからね。しっかりと一日座学研修して、二日目にわたしと一緒に実践任務開始。明日から御影くんもD案件をしてもらうからね」

 御影の胸は弾んだ。もう明日から任務に就ける。それが猫捜しだとしてもだ。躍動する気持ちになる。
「そう、やっぱり体験あるのみだ」

 森谷は微笑んでいた。「だから、わたしが代わってみんなの紹介をしている。意外と人手不足なんでね。はやく一人前にならないと、見習いなんていつまでもいわれたくないだろ」

「とうぜんだ!」御影は見習い、見習いといわれるのは我慢できない。
 見習いとはひと一人に値しないのだからだ。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

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