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RAT <七>

   

 京子のの家具を買う為、国道沿いの家具屋へ出向いたあとだった。
 突如天井から降ってきた未確認生物。ラットの変動。何をして良いのか分からず、ふと辺りを見回してみると、何時ぞや見た荒れ果てた景色ではないか……

 

 
 目的地に着くと、早速寝具コーナーへと向かった。シングルサイズからキングサイズ。二段ベッド、ウォーターベッド等色々あった。その中でも一番シンプルな物を京子が選んだ。俺はメルヘンな京子にはレースのカーテン付きのダブルが合っているんじゃないかと言ったが、失笑されて終わった。
 京子は比較的、安価な物ばかりを選んだ。俺に遠慮しているなら無理もない。しかし持ち合わせはある。遠慮する事なんてないのに……
 シーツや枕、掛け布団、小さな机、色々買って八万程度だった。会計の際に京子は申し訳なさそうな顔をしていたが、そもそも俺の部屋に置く家具だ。俺が払って何が悪い。
 俺の車は外見デカく見えるが、中はそんなに広くない。ベッドの脚や、机などは入ったのだが、ベッドのマットレスがどうしても入らず、一度家に帰ってから再度取りに来る事にした。
 家に戻り、京子は机やベッドの脚の組み立てをしている間に俺はマットレスを取りに行った。
 駐車場を出て、国道に入る近道の小道に入った所で俺は急ブレーキを踏んだ。何か大きな茶色の塊が小道を通せん坊していたからだ。何だろう? と目を凝らして見ていると、それはモゾモゾと動き、一度まばたきをした瞬間にそれは消えていた。そしてそこには人が倒れていた。急いで車を降り駆け寄ったが、あまりの猟奇さに吐き気を催した。手足は反対の方向を向いており、ヒクヒクと泡を吹く老婆の姿がそこにあった。
 俺は急いで救急車を呼んだ。まだ息は有るのだ。救急車が着くまでの五分間。俺は何も出来ずに突っ立っていた。が、これは事件に違いない。そうなれば警察が来る。俺は慌てて車を切り返し、その場を去った。
 まぁ、救急車も呼んだし大丈夫だろう! と思いつつ一つ気になる事を思い出した。倒れていた老婆の服装だ。あれは制服ではなかっただろうか。近所の女子中学校の制服……そういえば手も脚も異様にか細く、しおれていた。顔なんか骸骨の様だった。それに最初に見た茶色の物体は何なんだ! 今思い返してみると、毛むくじゃらの動物の様にも見えた。しかしあの大きさ。全長一メートルはあるだろう。そんな動物がこんな東京の街に居る筈がない。
 俺はコンビニで車を停め、水を買い、一気に飲み干した。体内に入った水分がまるで蒸発するかの様に脂汗となって流れ出す。そして俺は嘔吐してしまった。手足が震え、まるで呪われたかの様にあの光景が脳裏に焼き付いている。
 ポケットにしまってあった安定剤のロラゼパムを一気飲みし、車の中でクーラーの風にあたる事にした。
 暫くしてやっと気持ちが落ち着いた頃、京子から電話が掛かってきた。

 

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