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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season2-4

   

 三日が経過するも成果はなし。御影もしだいにあの手この手で猫を捜しまわる。
 徒労に終わることだけは避けたいと御影は躍起になっていた。

 そんなとき、大地梢のDランク人捜し依頼に苦労を重ねており、意気消沈になっていたところを森谷が声をかけた。

 助手の佐崎ではなく森谷が手伝うことになり、御影もそれに同行することになった。

 佐崎は、ほかの事務員に大地の苦言を漏らすも、最年長の事務員佐伯みどりに注意され、なにが大事かを諭された。

 大地の担当依頼内容を森谷と御影は把握する。

 16歳の家出少年。
 その少年のこれまでの日常を聴取した大地は、萎縮するように抵抗を感じていた。

 不良少年だということだ。

 大地にとっても苦手なタイプだというのはよくわかった。

 御影は、大地の必死の訴えを承諾する。

 

 三日が経過した。

 御影のはじめての依頼でもある猫捜しに成果はなかった。目撃情報が集まらない。ネットにも掲載しているが、一通もなかった。
 聞き込みにも成果はない。アメリカンショートヘヤーという人気な猫が野良猫でいること事態、不自然だということだ。

 やはり持っていかれてしまったか。というのが結論になる。そうなると見分けがつかないだろう。すでにその家の首輪に換えられてしまったら依頼は徒労に終わる。

 不完全燃焼だけは避けたいと思っていた御影だ。そのせいで、過剰に聞き込みをしたり路地裏や猫が出没しそうなところを泥まみれになりながらも捜索していた。

 川上探偵の浮気調査にも進展がなく一週間の張り込み、尾行をしていた。奥さんの行動範囲を時間割りにして事細かく記すが、不自然な行動や、見知らぬ人物とのやりとりはなかった。

 近所の顔見知りのおばさん相手に立ち話をするくらいで浮気をしているというのは旦那さんの勘ぐりではないか、と推論していた。

 御影はなにをもって浮気をしていると思ったのか、それは聴いていなかったが察していた。
 川上もすでに気づいているはずだ。

 旦那さんが過剰な束縛家だということに。

「森谷さん」御影は質問したいことを溜め込んでいた。「ほかの探偵さんはどうしてるんすかね」

「なぜ、そんなことを気にする?」

「あまり顔を合わせることがないから」

「外部に漏らせない依頼もある。C任務は、著名人や芸能人のスキャンダル、ネタ収集に尾行。B任務は詐欺の証拠収集だ。A任務に発展する可能性もある。A任務は犯罪に着手する案件だ。もっとも本来、警察に届け出る案件だがな。事情があって探偵に調査を依頼してくる。その内容も過去の事案について一例として話すわけにはいかない。自分で学んでいけ」

 御影は頭を抱えた。「でも、どうやって、自分で? 探偵ドラマや映画はワンシーンごとに記憶している」

 森谷は首をふる。「そうではない。資料部屋がある。4階には部屋が三つあり、401、402、403号室がある。そして403号室は資料部屋だ。ほとんどスペースは倉庫として使用している。過去の報告書だ。事細かく依頼内容があり、そしてどんな調査をしたかが記されている。探偵の動きそのものが記されている。きみも同じように報告書を仕上げる義務がある」

「氷室さんのもみれるの?」御影は目を半ば輝かせていた。

「そうだな。空いた時間はそこで勉強もできる」

「そうですか。報告書の書き方もそこで学べる。氷室さんの調査報告書か、すげー。それなら空いたときに利用します」御影はいますぐにでも行きたそうな顔をしていた。

「だが、小柴くんに話をとおすように、彼女は鍵を管理しているからな。利用者が誰でどんな用事で利用したいか、用紙を記入して捺印をもらって手続き完了だ」

「ええ、あのひとっすか、でもしかたがないか、てか、めんどくせーことしてんだな」

「そうそう、文句はいわない。管理ができてはじめていっぱしの社会人となる」

「また社会人のあり方ですか」御影はそっぽをむいていた。

 森谷は微笑みながらつづける。「それと自分に与えられた依頼を真剣にむきあうことだ。そうでなければ成長しがたいぞ」森谷はいった。

「わかりました」

 

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