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書くの辞めたい 第一夜 作家もどきの本音

   

新人作家の満月 理桜(みちつき りおう)が綴る、作家もどきの本音と日常。ギリセーフを狙って、日々精進。だめ出しの毎日。自作を読んでくれない友人への恨み辛み。公募で落とされる痛みと辛さ。癒やしの猫。書くの辞めたいと涙する夜。
そんなこんなで『書くの辞めたい』スタートです。
改めて言いますが、これフィクションです。物語ですよ。

 

 
「お前のなかの原風景を大事にしろよ。お前が描きたいもの、描けるもの、描いたものは全部違う。そこをいかにマッチさせるかだ。要は魅せ方だよ、魅せ方。おおむねそこで決まる。どんな駄作だって、演出がよけりゃそこそこ見られる。反対に、脚本がどんなに綺麗でも演出が駄目なら、その作品は死ぬ。両方駄目なら目も当てられない。そこは絶対に面倒くさがっちゃ駄目なんだ」
「うん。分かってる。いかに透きとおらせるか、だよね。純度を限りなく高くする」
『にゃんと素敵な東雲市役所猫支店』より

「ほんとうに、すみません。明後日の昼には必ず仕上げて……必ず仕上がるのか、これ?」
 独り言イン汚部屋。午前二時。原稿落とすデッドラインぎりぎりの月曜日。担当さんへの謝罪と原稿が仕上がる予定日のメール。
 担当さんからの原稿催促の電話攻撃が怖くて、携帯を切って逃走を図ったんだけど、まーどうしてもパソコンの前に戻ってくる癖がついてる。
 逃げ切ってしまって失踪する勇気が私にはない。逃げ切れる人が羨ましい。それしたらよほどのことがない限り私は信用をなくして仕事がなくなる。
「てか、マジで出来る? これ?」
 新米作家の私・満月 理桜(みちつき りおう)は、メール画面から二次郎画面に切りかえた。
 40字×30行の十行くらいしか書けてない。罫線だけが薄く浮かび上がってる。
 クライアントからの要望は二万文字。全十万文字の予定で、分割した五章を配信するから二万文字ってわけ。それで様子を見て、駄目なら私は切られる。二万文字は一番最初に切り抜けなきゃいけない関門だった。
 日に私は一万文字がマックス。それ以上書くと文章の精度が落ちて、読める文章じゃなくなる。
「どーしたもんかなあ……エロ書くには体力いるしなあ……早く書かないとなあ」
 うーんと唸った私は回転椅子をくるくる回す。
 作家になって奮発して買った二次郎は、読み上げ機能があってかなり重宝してる……んだけど、元取れたー! と思った去年とは違い、今年の私はどうも調子が悪い。
 でかいスランプが何度も来て、そのたびに方々に連絡を入れて締め切りを延ばしてもらったり、休みもらったり、仕事自体がおじゃんになったり……を繰り返してる。
「なんかでかい賞取って安定供給される仕事したい……」
 言って、がくりとうなだれた。

 

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書くの辞めたい 第1話第2話

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