幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season2-6 END

   

 御影は家出少年を説得はできなかったが、体術で強制的に動きを封じた。

 森谷も大地も安堵していた。これで、ご両親に連絡し迎えにきてもらうことができる。

 が、御影は子どもの力だと思って油断した。突発的な力と俊敏性のある動きで御影の拘束を解いた。

 刃渡り10センチの折りたたみナイフを隠し持ち、その牙を御影にむけたそのとき、森谷が間に入った。

 腹部を何度も刺されて崩れた森谷。

 危機回避能力によって、咄嗟に動いた大地の護身術は、ふたたび圭吾の動きを封じた。

 御影はそのあいだ、なにもできずに佇んでいた。森谷のかばう背後で。
 勝手な行動をとった御影は落胆していた。

 救急車で運ばれたが、何度も腹部を刺された森谷に助かることはない。
 誰もの顔に影が差す。

 探偵事務所に待機している御影は立ち直れずにいた。正義を振りかざした自分の勝手な行動に、恩師を亡くしたのだから。

 と、そのとき探偵事務所に訪れた者が…。

「第二シリーズ完結」

 

「帰るぞ」森谷がいった。

 安堵の気持ちからか大地もひとつ微笑みを浮かべた。が、次の瞬間のことだった。

 取り押さえる御影の向かって右側に森谷、左側に大地が立っていた。川上はまださっきまで四人がいた場所にいた。電話をしていた。

 圭吾は御影の拘束下の状態をやけになってか振り払おうともがいている。

 子どもの力だと思って侮った御影。思ってもみない力で抵抗を受けて驚き、拘束を解いてしまった。足ももつれ圭吾から三歩ほどの距離をあけられてしまった。
”逃げられる”と御影は思った。

 圭吾はその反発の反動から護身用の刃渡り10センチの折りたたみナイフを出して刃先を御影に狙いを定めていた。
 圭吾の視点が御影しか見えていなかった。

 御影はその動作に呆気にとられていた。向かってくる気でいることに驚愕していた。

 だが、御影の視界を覆いかぶさったのは、森谷の背中だった。
 175センチの太めの体格に前方は阻まれ、御影は何が起きているかわからなかった。

 圭吾の握りしめたナイフをかばうようにして森谷が割ってはいる。太めのおっさんの俊敏な動きに圭吾は反応しきれなかった。
 御影の前に現れた障害物がなにかを認識せずにナイフを持つ手が伸びた。

 森谷の腹部にナイフが刺さった。

 圭吾はまだ錯乱しているのか、なににナイフを刺したかわからずに、森谷の腹部からナイフを抜いた。
 そして、二度三度と突き刺す。

 四度目を刺すとき、森谷の体格が崩れた。

 一瞬、壁が崩れたことがわかると、圭吾は御影めがけてナイフを向けようとするが、すかさず大地が圭吾の手を掴み、手首を捻りあげ、てこの原理で体勢を崩しながら、足払いをし、宙に浮いた圭吾はそのまま重力に引かれ背中から落ちた。

 アスファルトのうえに直撃、脳震盪を引き起こしそうな衝撃を与えた。
 大地は護身術として習っていた技を披露した。

”危機回避能力”、すかさず大地の技が光った。

 森谷の背中で視界が阻まれたが、その背中が崩れて仰向けになった森谷を御影は見た。
 視線を前方へもどすと、圭吾はうずくまるようにして倒れていた。背中を強打したのだ。

 大地が足払いをした体勢のまま、息を切らしている。そんな光景を見ていながら、御影はなにもできずにいた。

 圭吾を取り押さえる大地が叫んだ。
「救急車!」

 理解できなかった。が、森谷に視線をむけるとナイフが腹部に刺さっていた。
 三度めに森谷の腹部に刺したとき、圭吾はナイフを持つ手に力が抜けていた。

 大地が小手先な技を決めて、ナイフから手を遠のかせ、圭吾の反発を制した。

 御影は呆気にとられていた。まさかなにもできずに助けてもらった。自分でどうにかできると正義の心でこの場を制圧できればと独断の考えでの行動。これは誤りであったことに気づいた。
 不正解な行動を取ったのだ。

 探偵事務所で大地が悩んでいたときのように身動きできず呆然としている御影だった。

 そこへ、電話を終えた川上がきたが、遅かった。ふたたび携帯電話を掴み、電話をしたのは、川上だった。
「すぐに救急車がくる―」

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season2 <全6話> 第1話第2話第3話第4話第5話第6話

コメントを残す

おすすめ作品

8月のエンドロール 9

見習い探偵と呼ばないで! Season11-1

自称天才数学者の推理記録 記録2 第2話

8月のエンドロール 18

見習い探偵と呼ばないで! Season4-4